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2016年1月

2016.01.02

オルフェオ

20160102_4009janie_4 いくつかの物語の軸が結ばれ、ひとつになる。今、過去、そしてもうひとつの、少しずつつながりを見せる言葉の行方を追ううちに、ピーター・エルズという人生に引きつけられていた。彼が望んだこと、その甘美さに孕む危うさの中で、言葉は音楽と共に彼の迷いと間違いに満ちた人生を語ってゆく。友人、妻、娘、彼を愛した人々、彼を信じた人々との時の中で、彼がめぐらす思考はシンプルな答えに行き着く。何て小さな思考が人生の全体を満たしたのか。変えられない、戻れない人生、自分自身を抱えた先にある音楽。その果てしなさにそっと息をついた。

 リチャード・パワーズ著、木原善彦訳『オルフェオ』(新潮社)。本文の中で展開する今と過去の物語と、それに絡まる音楽史、枠でくくられた短文が、少しずつ結ばれ、ひとつの物語になってゆくほどに、夢中になり、ピーター・エルズという一人の男の人生に引き込まれていた。誰も聴いたことのない音楽を書こうとする彼が望んだこと。その甘美さに孕む危うさの中で、言葉が音楽と共に彼の迷いと間違いに満ちた人生を語ってゆくのが、皮肉のようでありながら、人生の機微とその中にあるささやかな喜びを伝えてくるようで、ぐっと心に迫る箇所がいくつもあった。友人、妻、娘、彼を愛した人々、彼を信じた人々と過ごした時の中で、彼がめぐらす思考がシンプルな答えに傾き、行き着こうとする過程が、とても魅力的に感じられた。

 “何て小さな思考が人生の全体を満たしたのか” 哲学者ウィトゲンシュタインの言葉の引用で作られた曲「プロヴァーブ」の何頁にもわたる描写は、エルズの心の在り方やその変化を丁寧に描いていて、とりわけ好きな箇所だ。この箇所は、音楽を聴きながら読むと、その音楽の吸引力に魅せられてゆくエルズと、それを読みながら、聴きながら魅せられてゆく読者(私)とがないまぜになって、どこか遠くへ気持ちが飛ぶような、そんな心地すら覚えた。音楽の力と、言葉の力。それを思う箇所でもあった。マーラーやメシアンの音楽の登場する場面の描写も引きつけられたが、とりわけライヒの「プロヴァーブ」の箇所が鮮烈な印象を残した。“何て小さな思考が人生の全体を満たしたのか”その言葉から思うこれまでの人生は、変えられない、戻れない人生を思わせた。エルズが物語の端々で思う人生、他のどんな人生にも劣らぬいい人生だったと、そう思う箇所は、救いのようであり、じんとくる。再会したクララとの場面、そして、娘との時間も、とてもいい。

 人生の中で思い至るまでの過程、その長い年月がありながら気づくのが遅すぎたこと。こうして、物語として追う読者の一人としては、どこか達観して見られる人生だけれど、自分の人生を振り返ってみれば、もどかしいことだらけで、わからないことだらけで、結局のところ、ほんの少ししか変えられないし、戻ることなどできない。その現実が、物語の結末とぶつかるとき、深い息をつくことしかできない私がいた。“やってきたことは変えられないし、作ったものは変えられない。あなたはあなただ。”この箇所が出てきたときには、ジョン・ウィリアムズの『ストーナー』を思い出して、“わたしはわたしだ”と思い至る部分と重なったのだった。結局のところ、人間の最後に行き着く思いというのは、どの人にも通ずるものなのかもしれない。そんなふうに思うと、そこまでに至る長い時間、自分自身を抱えた先にあるエルズの音楽の果てしなさに、またひとつ、そっと息をついたのだった。

追記
この文章は2015年に書いたものです。

4105058754オルフェオ
リチャード パワーズ Richard Powers
新潮社 2015-07-31

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2016.01.01

2015年に読んだ愛おしい本たち

2015年に読んだ本は205冊。読む本読む本どれも皆それぞれに愛おしかったけれど、中でも特に思い入れのある本をここに挙げておきます。個人的な好みも含めて、どれも大好きな本たちです。

・J.M.クッツェー著、くぼたのぞみ訳『マイケル・K』(岩波文庫)

ただ生きてゆく。その本質を思っていた。生きることの本質は、思い描く以上に根源的な、ごくシンプルなものであるのだと気づかされる。生きるすべ、語るすべ、信じるすべ、疑うすべ。あらゆるすべは私たちを導くけれど、ときに私たちを縛るものだと思い至る。何ものにも捕らわれず、時の流れに委ね、そうして黙々と生きる。そんなマイケルの姿に心掴まれ、目が離せなくなるのは、自分自身の抱える余計なものの多さにはたと気づくせいかもしれない。人間の本質と物語の本質の狭間で揺れながら、どんなふうにも人は生きてゆける、そう心に刻んでいた。

4003280318マイケル・K (岩波文庫)
J.M.クッツェー くぼた のぞみ
岩波書店 2015-04-17

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・J.M.クッツェー著、くぼたのぞみ訳『鉄の時代』世界文学全集(河出書房新社)

その地で起きたことを、そこに生きる人々に起きたことを、そこで巡らされた感情を、わかったつもりになってはいけないと思う。平穏な場所で私が巡らせる思いなどささやかなものでしかない。その無力さと虚しさを伴う悲しみは、時代が変わろうとする、老いや病に侵されてゆく、そのときの為すすべのなさに微かに通じて共鳴を呼んだ。恥の感覚。屈辱的な思い。生の中にある死。痛み。多かれ少なかれ抱えるすべての根幹は、人としての生き方、人間性に繋がってゆく。最も身近にいる者を愛すること。行き着くシンプルな難題は確かな手触りで心熱くする。

4309709516鉄の時代 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-11)
J.M. クッツェー くぼた のぞみ
河出書房新社 2008-09-11

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・ヴァージニア・ウルフ著、大澤實訳『歳月』(文遊社)

視線の先に広がる世界と、その先を行く思考のたゆたいが始終心地良い。パジター家の人々を中心に代わる代わる展開されてゆく意識に寄り添ううちに、次第に人々との距離が近しくなってゆくようだった。無数に巡らされる思索の中に、はっと胸を打つ生と死を見る。老いを見る。時代や暮らしの変化を見る。避けられぬ多くのことの中で、変わらぬこともある。その救いの象徴のような集いは、どこへ向かうか問いながら積み重ねてきた歳月を、今この場所へ、現在へ、そしてその先へと結ぶようだった。陽はのぼる。それだけで、もう心は満たされている。

4892571016歳月
ヴァージニア・ウルフ 野島秀勝
文遊社 2013-11-28

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・バージニア・ウルフ著、土屋政雄訳『ダロウェイ夫人』(光文社古典新訳文庫)

人生のひとつひとつの瞬間にある生の煌きと、それと対をなすように同時にわき上がる死への思い。わたしはただ生きたいだけ。そう言葉にしても、その言葉はどこか表裏一体で、その生の迫りに抱える孤独、虚しさ、悲しみを抱かせた。意識をとらえ、流れてゆく思考は、端々ではっと自分自身を省みてしまう、そんな魅惑に満ちている。6月のある日の出来事、人々、その思考が、ある瞬間に結ばれ、そこにあること。近しく重なり合う思考の向く先に、思わず感嘆の溜息をもらしていた。その心を満たす存在を思いながら、物語の余韻を噛み締め、本を閉じた。

4334752055ダロウェイ夫人 (光文社古典新訳文庫)
バージニア ウルフ Virginia Woolf
光文社 2010-05-11

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・ヴァージニア・ウルフ著、川本静子訳『波』(みすず書房)

陽が昇り、沈んでゆく。その一日の生の息遣いを感じる、はっと息を呑む美しい描写を挟みながら、六人の男女のそれぞれの人生が伺える独白が展開されてゆく。始終どっと押し寄せる思考の波。孤独。見分けのつかぬ愛と憎しみ。喜びと悲しみ。生と死。友人たちの姿を通して多面的になる個は、ふいにその境を曖昧にする。そして独白によって語らずとも浮かび上がる存在もある。感情を、関係を、我が身を問いながら、生き方を、人生を問うてくる。陽は昇り、沈み、また昇る。波は砕けても、また寄せる。繰り返される絶え間ない生死に深い溜息がこぼれた。

4622045052波 (ヴァージニア・ウルフコレクション)
ヴァージニア ウルフ Virginia Woolf
みすず書房 1999-10

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・アンナ・カヴァン著、山田和子訳『氷』(ちくま文庫)

鮮烈な想像をめぐらせる幻影が、いつまでも脳裏に刻まれてゆく。意識と無意識の狭間で、名前を持たぬ人物たちは、世界の隅々まで覆いつくそうとする氷の世界に捕らわれ、逃れるすべを、自分自身を、どこか探しているようにさえ映る。美しくも恐ろしくも感じる世界、その移ろいゆく世界とそこにある感覚に魅せられながら、知らぬ間にめぐらせた幻影と置かれた運命の中に、深く深くどこまでも呑まれてゆく。危うい均衡の中で、その世界に埋もれた私は、すっかりアンナ・カヴァンの虜になっていた。

4480432507氷 (ちくま文庫)
アンナ カヴァン Anna Kavan
筑摩書房 2015-03-10

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・アンナ・カヴァン著、佐田千織訳『あなたは誰?』(文遊社)

果てしない日々の中に根深くある、形のない恐れ、障壁、悪夢、心の奥に常にある重苦しい思い。口にするには曖昧な、けれど確かに横たわるそれらは、自分自身の存在を、居るべき場所を不確かにする。仄かな夢想や小さな輝きは、すぐさま見失ってしまうほどに淡い。気を狂わせんばかりの暑さと、チャバラカッコウの騒々しい鳴き声が耳をつんざくほどに、すべての音や儚い希望、罪の意識をかき消してゆく。生気を奪われそうになりつつも諦めきれずにすがり、託す思いと、儚い幻覚のような光景は美しく、物語に囚われるほどに魅了され、心添わせていた。

4892571091あなたは誰? (Anna Kavan Collection)
アンナ・カヴァン 佐田千織
文遊社 2015-01-07

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・アンナ・カヴァン著、青山南訳『ジュリアとバズーカ』(文遊社)

立ち上る思いは彼女を孤独にする。諦めきれずに誰かを乞う思いが強ければ強いほどに、その潔癖なまでの感情は、彼女を一人にし、やがて彼女さえいない世界を描かせる。誰も寄せつけない世界は、どこまでも美しくそこに在る。ふれるのをどこか躊躇うくらいの気高さで魅せてゆく。現実やあらゆる関わりの虚ろさは、生きていることや愛されることの果てや、根深く横たわる絶望、死を巡らせずにはいられない。愛されて、生きること。その根源的な乞いを物語の端々から感じ取るほどに、私の中にも潜む渇望が疼き、親しみ抱く孤独に貫かれる心地でいた。

4892570834ジュリアとバズーカ
アンナ・カヴァン 青山南
文遊社 2013-04-28

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・レアード・ハント著、柴田元幸訳『インディアナ、インディアナ』(朝日新聞社)

此処にも其処にも彼処にも満ちる喪失感の中、途切れ途切れに静かに語られてゆく人生は、哀しくて、美しくて、残酷だ。オーパルの手紙や、どこか寓話のようにも感じられるノアの身に起こる様々な出来事は、その切実な心を揺さぶり続ける。なかなか全貌が見えぬ物語の点と点が結ばれ、あの時のノアとこの時のノア、そして今のノアの思いと行動がつながるとき、ノアの見ていた世界と失われたもの、その人生を思って愛おしさが込み上げていた。“昔むかし一人の男がいて一人の女がいましたがやがていなくなりました”きっと私が知っているのもそれだけ。

4022501871インディアナ、インディアナ
レアード・ハント 柴田 元幸
朝日新聞社 2006-05-03

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・レアード・ハント著、柴田元幸訳『優しい鬼』(朝日新聞出版)

語られてゆく日々の中の“楽園”という言葉の意味する、皮肉な哀しさを思ってしまう。時代の残酷さと、日常に溢れる暴力とその連鎖、そこにある心情、語られてゆくひとつひとつの出来事に苦しさを覚えながらも惹き込まれるのは、詩的で濃密な語りの為せる魅惑だ。行きつ戻りつしながら、真実も嘘も、自分の身を守るための犠牲も、それゆえの祈りも、ここにいること自体も、虚しいほどに切実で引き寄せられる。足枷を解かれてもなお、まだある痛みと消えることのない傷を抱えて、時は過ぎてゆく。目を逸らすことのできない過去と物語がここに在った。

4022513136優しい鬼
レアード・ハント 柴田元幸
朝日新聞出版 2015-10-07

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・ブルース・チャトウィン著、栩木伸明訳『黒ヶ丘の上で』(みすず書房)

気がつけば、時は流れている。双子のルイスとベンジャミン。年を重ねるほどにそれぞれに抱えてゆく葛藤も悲しみも痛みも、すべては互いを深く愛する思いへ昇華され、決して離れられぬ二人になってゆく。物語の背景にある戦争、景気や文化の変動、近所との関係、家族や見知った人の死の中でも、黒ヶ丘で二人が二人であり続けることは、救いのような愛おしさを感じさせた。そうして、やがて二人にも近づく終わりの時の中で、残酷にも着々と時が流れてゆくことを知り、はっとする。そして気づくのだ。こうしている私にも時は流れているということを。

4622078635黒ヶ丘の上で
ブルース・チャトウィン 栩木 伸明
みすず書房 2014-08-26

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・ブルース・チャトウィン著、 旦敬介訳『ウイダーの副王』(みすず書房)

濃密に描かれる人生の変遷は、常軌を逸した数々の出来事に彩られながらも、はっと目を奪われ、魅せられるような描写で、人間のしなやかな強さや煌く感情を伝えてくる。ぴったり九十八年前の恋、その心の高鳴り、それに伴う孤独の深さへの気づき、年月が変えてゆく様々な事柄、それでも生き続けるということ、思い描く将来についての幻影、アフリカの神秘、多くの生け贄の犠牲者たち、死者の方が生者よりも生き生きと息づく土地、そこにある連鎖。椰子の木のざわめきと土地の匂いを感じさせながら結ばれる物語の余韻は、どこか清々しくさえ思えた。

4622079089ウイダーの副王
ブルース・チャトウィン 旦 敬介
みすず書房 2015-05-26

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・ブルース・チャトウィン著、北田絵里子訳『ソングライン』(英治出版)

自分の始まりの場所へ還ってゆく。そこに至る道を歌いながらたどる。そうして自らを正しい死へ導く者は、満ち足りた理想の人間だという。オーストラリア全土に延びるソングライン。人が歩いたところにはすべて歌の名残がある。大陸や時代の境を越えて、本能の芯に導かれるように、チャトウィンは土地を、人を、知ってゆく。人はなぜ放浪するのか。どうしてここにいるのか。長年彼の抱える疑問は、いつかは死ぬ、という人の持つ悲哀を浮かび上がらせる。語られてゆく旅の光景や書き留めたノートの言葉一つ一つが、彼の生き方を思わせ、愛おしくなる。

4862760481ソングライン (series on the move)
ブルース・チャトウィン Bruce Chatwin
英治出版 2009-02-27

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・ブルース・チャトウィン著、池内紀訳『ウッツ男爵 ある蒐集家の物語』(白水Uブックス)

「愛すべきウッツ」という思いを、読みながら始終抱かせる。握られたら痛みを覚えるようなカニ鋏みたいな手も、自分の審美眼に合わぬものへの辛辣な言葉も、追いかけずに自分の腕に沈んでくれるような女性を求める思いも。そうして、彼に多くを求めず生涯を捧げたマルタに思わず気持ちをそわせながら、二人の行方を追っていた。ウッツの蒐集家としての人生が、第二次世界大戦や冷戦下のプラハで変化してゆく様子、蒐集に魅せられた情熱の向かう先が、どこか虚しさを漂わせながら、悲しみと愛おしさで心を満たした。

4560071934ウッツ男爵: ある蒐集家の物語 (白水uブックス―海外小説永遠の本棚)
ブルース チャトウィン Bruce Chatwin
白水社 2014-09-04

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・パヴェーゼ著、河島英昭訳『月と篝火』(岩波文庫)

導かれてゆく。思いは幼い頃の<ぼく>へ、その故郷へ、そしてかつてそこにいた人々へ。残された面影が見せるのは、確かに流れ、過ぎ去っていった時間の物語だ。私たちはそこに、まだ燻る篝火を見る。信じるべき月を見る。あまりにも沢山の人々の死。宿命。あの人も、この人も、ここにかつていた人たちの多くは皆、死んでしまった。人々の記憶や、そこに立ち会う<ぼく>の目に寄り添ううちに、故郷という存在がそっと孤独を埋めてくれる感覚を抱いていた。立ち去る人を待つ場所が、在るという感覚。待ち続けている土地の匂いを、悲しみを巡らせて。

4003271459月と篝火 (岩波文庫)
パヴェーゼ 河島 英昭
岩波書店 2014-06-18

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・ウィリアム・トレヴァー著、谷垣暁美訳『恋と夏』(国書刊行会)

何が起ころうと、起こるまいと、時は変わらずに流れてゆく。ラスモイの町の人々にはそれぞれの営みがあり、それぞれの過去があり、それぞれに抱える思いがある。よく見知った日常と変わらぬそのときの流れが、物語全体をそっとあたたかく包み込む。ある者にとっての忘れ難い夏も、そこにあった儚い恋も、過ぎ去ってゆくことをどこか静かに受け止めてしまうのは、誰もが抱える戻れぬ日々の記憶と重なる部分を思うからだろうか。いつまでも遠のくことを知らぬ、ひりつくような痛みは、多かれ少なかれ誰の心の中にもある。そうして、生きてゆくのだと。

4336059152恋と夏 (ウィリアム・トレヴァー・コレクション)
ウィリアム トレヴァー 谷垣 暁美
国書刊行会 2015-06-01

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・小川洋子著『琥珀のまたたき』(講談社)

哀しく切なく、まぶたを熱くした。時が流れてゆく過程で、閉ざされた世界が、少しずつ崩壊の兆しを見せるとき、その暮らしの歪な危うさを、だからこそ漂う静謐な美しさを、まるごと抱きしめたくなっていた。人間の愚かさや欠落の招いた世界であっても、そこで様々にめぐらす感情、育まれた想像力や愛情は深く、豊かだ。人間の根本、その心の在り処。それらが生き抜くためのすべであると思うと、彼らだけの世界や、その傍にあった沢山の図鑑、そこから生まれた物語、そこに描かれた瞬きの間ほど展開する世界、その一瞬一瞬が特別に愛おしいのだった。

4062196654琥珀のまたたき
小川 洋子
講談社 2015-09-10

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・長田弘著『長田弘全詩集』(みすず書房)

これは人としての在り方、生き様を示した特別な一冊だと思う。第一詩集から変わらずに詩人の中にある思いと、少しずつ変化してゆく思いに揺さぶられながら、その視線の先にある風景や人、記憶、樹、本、絵画、音楽などへの厳しくも優しくもある言葉が、次第にやわらかく穏やかになるのを感じていた。ささやかなもの、何気ないもの、日常、そうしたものへの感動は、詩人の歳の重ね方や日々の生き方をめぐらせる。生きてゆく者のつとめとして、優しくあろうと貫き、それをどこか恐ろしい生の痛みとも感じ取ったまなざしを私はきっと忘れないだろう。

4622079135長田弘全詩集
長田 弘
みすず書房 2015-04-23

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・長田弘著『最後の詩集』(みすず書房)

“しかし、よき人生なんて、もともととりとめもない、ささやかな、お気に入りの人生にすぎないのではないだろうか。”日常の中での小さなお気に入り、誰かと共有することを目的としない楽しみ、何もしない時間、そういったささやかな自分のためにある時間を慈しむ言葉に惹きつけられる。人生の限りを見据えて紡がれた言葉は、一人の詩人としての生き方と、生き様を静かに映し出す。生の自由を存在に見る姿勢、詩の仕事に対する思い。ときに死に寄り添い、生きられる人生に遺せるきれいな無を思う。思いの込められた、とびきり美しい佇まいの本だ。

4622079321最後の詩集
長田 弘
みすず書房 2015-07-02

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・吉田知子著『脳天壊了 吉田知子選集Ⅰ』(景文館書店)

心を捕らえて離さない吸引力ある書き出しから結末まで、読み耽りながら思う。理想的な物語だ、と。物語の中の現実と地続きの世界に、ふっと危うさが広がる。過去と今が交錯する。知らぬ間に足をとられている。その不穏さ、その滑稽さ。どこか哀しくもある物語に起こる現実は、心にしっとりと添う。とりわけ「乞食谷」の“私は人の情は乞わぬ”と思うに至るまでの主観の孤独、その人生を、出来事を、物語の端々や行間から感じ取るほどに、心に添う物語への愛おしさが増していた。「常寒山」の語りの仕掛にはっと気づいた時、それは確信に変わった。

4907105002脳天壊了―吉田知子選集〈1〉
吉田 知子
景文館書店 2012-12-19

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・ナタリア・ギンズブルグ著、須賀敦子訳『ある家族の会話』(白水Uブックス)

生きざるを得なかった過酷な時代の人々の姿が、瑞々しく静かな目で語られてゆく。自分自身のことを多く語らない描き方は、かえって<私>の抱える時の流れを思わせ、はっと胸を打たせる。いつしか読み手の目と重なってゆくような心地さえ覚えるのだ。言葉に込められた奥にある感情は、彼女の見たもの、大切な愛すべき家族や友人たちへの思いと共に、どんなふうに生きたのか、人々の確かな息遣いを、生きた証を伝えてくる。微笑ましく愛おしくなるような家族のあり方は、時代の中の救いでもあり、この自伝的な物語の普遍的な魅力のように感じられた。

4560071209ある家族の会話 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
ナタリア ギンズブルグ Natalia Ginzburg
白水社 1997-10

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・ジュンパ・ラヒリ著、中嶋浩郎訳『べつの言葉で』 (新潮クレスト・ブックス)

どの言語にも完全には属さず、祖国というものもないことの、自由と疎外感。絶えず言葉を求めてゆく過程で著者の中にわき上がる思いは、そのルーツと物書きとしての強い衝動を思わせた。焦がれる思いは、希望と絶望が隣り合わせだ。それでも学ぶ。それでも書く。そうして言語に根を下ろしていない不完全さは、生きる実感と重なってゆく。永遠に越えられない言語との間にある壁は、表現の前では越えられる壁になる。偏見も顔かたちも、言葉が越えてゆく。言葉が自分自身になってゆく。言葉と自分に真剣に向き合う姿は、とても誠実な生き方に思えた。

4105901206べつの言葉で (新潮クレスト・ブックス)
ジュンパ ラヒリ Jhumpa Lahiri
新潮社 2015-09-30

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・ミランダ・ジュライ著、岸本佐知子訳『あなたを選んでくれるもの』(新潮クレスト・ブックス)

人生の手触りを感じていた。それらはときに過剰で、艶めかしく、どこか滑稽で、何よりも切実な生の手触りだ。誰もがそれぞれの物語を抱え、物語以上の現実を生きている。インタビューに応じる人々の語りは、耳を傾ける者を得たことで、その営みをいっそう顕わにする。そうして、その語りを聴く者の心の内を見つめさせる。一人の人間の数えきれない沢山の小さな瞬間の記憶を、奇跡のように美しいと感じる部分は、とりわけ素敵だ。人生の最後まで、小さな奇跡は思い出されては、忘れ去られ、またいつか思い出される。それは紛れもない私たちの物語だ。

4105901192あなたを選んでくれるもの (新潮クレスト・ブックス)
ミランダ ジュライ Miranda July
新潮社 2015-08-27

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・アンリ・トロワイヤ著、小笠原豊樹訳『サトラップの息子』草思社

心の奥の永遠のロシア、揺れ動く時代の中での二つの亡命、貧しくも家族に支えられたフランスでの暮らしが、自伝的物語のたくらみを凝らして魅力的に語られてゆく。生まれ故郷から切り離され、現実からも切り離された二つの世界の中間に漂う感覚の中で起こる数々の出来事は、どこか滑稽な家族のエピソードや時代に呑まれてゆく人々の行方と共に、始終心を掴んで離さない。少年の日、ニキータと共に夢中で書いた『サトラップの息子』の存在は、運命の皮肉と悲しみと愛おしさを残す。それぞれの選んだ人生は、読み手の人生にも静かに問いを投げかける。

4794212836サトラップの息子
アンリ・トロワイヤ 小笠原 豊樹
草思社 2004-02-21

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・リチャード・パワーズ著、木原善彦訳『オルフェオ』新潮社

いくつかの物語の軸が結ばれ、ひとつになる。今、過去、そしてもうひとつの、少しずつつながりを見せる言葉の行方を追ううちに、ピーター・エルズという人生に引きつけられていた。彼が望んだこと、その甘美さに孕む危うさの中で、言葉は音楽と共に彼の迷いと間違いに満ちた人生を語ってゆく。友人、妻、娘、彼を愛した人々、彼を信じた人々との時の中で、彼がめぐらす思考はシンプルな答えに行き着く。何て小さな思考が人生の全体を満たしたのか。変えられない、戻れない人生、自分自身を抱えた先にある音楽。その果てしなさにそっと息をついた。

4105058754オルフェオ
リチャード パワーズ Richard Powers
新潮社 2015-07-31

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・レオ・ペルッツ著、垂野創一郎訳『スウェーデンの騎士』(国書刊行会)

最後まで読み終え、再び最初の頁に戻って、物語の表層とその奥にある物語に、深く魅せられていた。序言で記される謎を生涯知ることのなかった主人公の娘と、読み進めるほどに知ってゆく読者と、そこに続く思いと。スウェーデンの騎士と、本物のスウェーデンの騎士の物語と。描かれなかった部分まで想像して、思わずため息がこぼれるのは、知り得ない物語と抗えない運命を思うからだろうか。謎めきの展開、それらが繋がりを見せ、物語として結ばれてゆくさま。男たちの運命を象徴するような静かな祈りと鮮明に浮かぶ光景は、いつまでも余韻を残した。

4336058938スウェーデンの騎士
レオ ペルッツ Leo Perutz
国書刊行会 2015-05-15

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・アントニオ・タブッキ著、和田忠彦訳『イザベルに ある曼荼羅』(河出書房新社)

奥底に抱える罪の意識と衝動、そこにある孤独、少しずつ言葉になってゆく思いに揺さぶられながら、物語に寄り添っていた。イザベルの謎を探るため一人さまよう旅は、自分の内へ内へと向かう旅となる。答えに行き着くことよりも、捜す、という行為自体に意味を見出すような旅は、どこか自分の心の在り処を見つけるすべのようにも映る。彼方此方をめぐり、様々な人々と出会い、また自分に還ってゆく。そうして自分の中にあるつかえにはっと気づくとき、新たな光を伴ってまた繰り返し何かが始まるような感覚を抱いた。そこに心地良い時間が流れていた。

4309206719イザベルに: ある曼荼羅
アントニオ タブッキ 和田 忠彦
河出書房新社 2015-03-25

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・ジョン・マクガハン著、東川正彦訳『女たちのなかで』(国書刊行会)

怒りも憎しみも、そこに至る思いの強さゆえの愛情も、時が流れてゆくほどに許してしまう。積み重ねられた年月は、とりわけ女性たちを逞しいほどの家族愛で満たしてゆく。良い所も悪い所も、まるごと含めたすべての家族の姿を抱きしめたくなるほどに、様々な出来事の中で、モランもローズも、その娘たちも息子たちも年を重ねる。人が何を言おうが、どんなことがあろうが、それぞれ違うところがあろうが、家族はひとつであること。例えそれが、逃れようもない現実だとしても、そのひとつの信念は、人生の中で特別な繋がりであり、希望のように思えた。

4336059470女たちのなかで
ジョン マクガハン John McGahern
国書刊行会 2015-09-25

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・パトリック・モディアノ著、白井成雄訳『1941年。パリの尋ね人』(作品社)

行方がわからぬ少女であり、混乱の時代の犠牲者でもあるドラ・ブリュデールの不在が深く心に迫り来る。微かに残る痕跡に対して、寄り添うように巡らせる意識とまなざしは、その時代の在り方や孤独、空虚さを伝えつつも、静かに胸を打つ。時代の犠牲となった多くの無名の人々。その一人のことを書き留める著者によって、確かに彼女が存在した証拠が浮かび上がってくると同時に、その存在の不在が顕わになる悲しさがやるせない。そうして、時代が残す人間の生の儚さや世界の不条理の痕跡は、日本にも、私たちの近くにもあることを改めて知るのだ。

48789330701941年。パリの尋ね人
パトリック モディアノ Patrick Modiano
作品社 1998-07

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・パトリック・モディアノ著、小谷奈津子訳『地平線』水声社

立ち現れる過去を辿りながら、そこにあった未来を、地平線を見ている。いつまでも地平線に向かう消失線上に留まるボスマンスの心に寄り添う語りは、曖昧な記憶とごく僅かな確かな記憶を、四十年の時を経て結んでゆく。断続的であっても、混沌としていても、一見関係のないような記憶すらも、束の間出会った人々を繋げる大切な断片として物語に在る。そうして永遠の現在に宙づりになっていた過去の謎めきを解き放ってゆく。同じ場所の、同じ時間の、同じ季節に戻ってゆく安らぎに満たされたときの幸福な余韻は、特別な歓びとなって心に広がってゆく。

4801000835地平線 (フィクションの楽しみ)
パトリック モディアノ Patrick Modiano
水声社 2015-02

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・パトリック・モディアノ著、根岸純訳『嫌なことは後まわし』キノブックス

物語の軸は、何が起こったかではないのだろう。少年時代のある時期、複雑な事情の中でも周囲には魅力的な人々がいたことが、子供らしい興味のまなざしで描かれてゆく。心に刻まれた人々の記憶や言葉は、少年時代のある時期を証明するシガレットケースのように、確かな手触りで残っている。守ってきた約束も、人々の行方を探る手がかりのなさも、思い出と共に特別な余韻を残す。人生には奇妙な出会いがあることを伝える物語は、苦いような切なさと懐かしい子供心を思わせる。子供は大人をよく見ている。しっかり聞いている。大人が思う以上に全身で。

4908059071嫌なことは後まわし
パトリック モディアノ 根岸 純
キノブックス 2015-01-31

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・エドワード・P・ジョーンズ著、小澤英実訳『地図になかった世界』(白水社)

かつてあった世界。よく知られたアメリカの歴史の姿を描きながら、ここには私たちの知らなかった物語がある。自由の身であろうと、なかろうと、そこに生き、通り過ぎてゆくどの人々にも名前があり、個性があり、抱えている現実がある。過酷な時代を語りながらも、どこかあたたかさを覚える静かなまなざしは、人々の息遣いにとても敏感だ。“ひとつの文は、主語がなくても生きていける。だが、動詞がなかったら生きていけないんだ”それでも多くの主語を据え、語られてゆくその一人一人の物語の行き先は、いつまでもぎゅっと心を掴んで離さなかった。

456009019X地図になかった世界 (エクス・リブリス)
エドワード P ジョーンズ 小澤 英実
白水社 2011-12-21

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・イーユン・リー著、篠森ゆりこ訳『独りでいるより優しくて』河出書房新社

独りでいること。孤独であること。その背景にある生い立ちや過去、そこに縛られたままの人生が、悲しみや痛みを孕みながら語られてゆく。過去と現在、北京とアメリカ。共に過ごした時間と、離れ離れの時間の中で、行き場のない感情や抱える痛みの深さが胸を苦しくさせる。人を信じきれず、時に残酷にもなる彼ら。出会う人々に互いを見てしまうこと。どうにも逃れられない過去を抱えた心に、そっと優しさ以上の愛が差し出されるとき、この物語の救いを感じていた。そうして孤独な心が寄り添うとき、まるで自分のことのように安堵していたのだった。

4309206751独りでいるより優しくて
イーユン リー 篠森 ゆりこ
河出書房新社 2015-07-02

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・アルフレート・クビーン著、吉村 博次、土肥 美夫訳『裏面 ある幻想的な物語』 (白水Uブックス)

パテラ、そして夢の国の謎めきに惹き込み、次第にぞっとするような恐ろしい光景や目を背けたくなるほどの混乱に満ちてくる物語が秘めている二面性、そのグロテスクなまでの闘争に魅せられ、始終くらくらしていた。想像をめぐらす以上の無力さ、生と死の狭間で、途方に暮れながら読み進めたとき目を引きつけて止まないのは、月であり、星であり、太陽だった。私たちの世界に日々当たり前のようにあるもの、頭上に広がっている光景。それが偉大なものであること。美しく尊いものであることを、不意打ちのように知らされて、はっとしたのだった。

4560071985裏面: ある幻想的な物語 (白水Uブックス)
アルフレート クビーン 吉村 博次
白水社 2015-03-07

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・ユベール・マンガレリ著、田久保麻理訳『おわりの雪』(白水Uブックス)

何度も繰り返し思い出される記憶は、哀しみに彩られていても、思い出されるほどに自分自身にとっての特別な愛しい記憶になってゆく。静かに語られる物語は、あるはずのない記憶すらも現実味を帯びて、記憶の中に取り込まれる。やりきれぬことを抱えながらも生きてゆく、そのすべは哀しくも人を強くする力なのかもしれない。父さん、その耳に届いたトビの音、雨の音、スイッチの音をはじめ、何かと引き換えの哀しい行為すら、永遠の拠り所となる思い出として心に刻まれる。そうして、自分は独りだと思う日にも、優しく寄り添ってくれる気がする。

4560071829おわりの雪 (白水Uブックス)
ユベール マンガレリ 田久保 麻理
白水社 2013-05-11

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他にも素敵な本と沢山出会った2015年でした。今年も素晴らしい本との出会いがありますように。

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