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2009.07.11

ミヒャエル・ゾーヴァの仕事

20090617_016 “仕事が仕事を呼び、人が人につながり、新たな扉を開く。そう考えてみると、僕にとって仕事は、あるいは人生の縮図そのものなのかもしれない”そんな序章からはじまる、ミヒャエル・ゾーヴァ画・文『ミヒャエル・ゾーヴァの仕事』(講談社)。出版、広告、ポストカード、映像、舞台…様々な領域で活躍する、現代ドイツを代表する画家が日本の読者のために再び語りおろしたという、ゾーヴァのこれまでの仕事のすべてがわかる一冊である。「出版」「広告とポストカード」「舞台と映画」「モチーフ」「風刺」の5章からなる語りと画は、ゾーヴァのファンならば、たまらなくなるに違いない。猫好きのわたしは、序章のあとに、ぎゅっと猫を抱きしめているゾーヴァを見ただけで、思わずくらくらとした。

 遅ればせながら最近になって知った画家、ミヒャエル・ゾーヴァ。たまたま図書館で『ちいさなちいさな王様』という本と出会って、その挿画に惹きつけられたのがきっかけだ。想像力をかき立てるストーリーを感じさせる画と、風刺や洒落の効いた画風は、ぱっと目を惹き、挿画といえども言葉よりも何かを物語る力を持っているように感じられた。そんなゾーヴァの仕事について語られた本ということで手にした今回の一冊。ゾーヴァの仕事だけでなく、私生活にもふれられていて、一ファンとしてはその素顔をほんの少し垣間見られた気がしてとても嬉しい。公私共に長きにわたって相棒だったという、亡きミヒャエル・エッターに捧げられたためか、彼とのエピソードには熱がこもって語られている。

 何といっても、贅沢なまでに画が載っているかと思えば、その画が既に世に出た後だというのに、上塗りしてしまっているというところが、ゾーヴァの作品への強いこだわりを感じる点である。上塗り中の画を一緒に載せているあたりが、ファンサービスというのだろうか。普段お目にかかれない創作の現場を見せられた気がして、たまらなくなる。また、仕事が軌道に乗るまでの日々を綴ったところでは、今は亡き相棒ミヒャエル・エッターとの強い絆を感じてほろりときた。様々な仕事をする上での葛藤、困惑、喜びなどなど、画家としての自分のあり方のようなものに、一時期は悩んだのだろう。“僕はずっと画家だったし、これからも画家であり続けるだろう…”という言葉の裏には、強い決意を感じる。

 また、オペラ「魔笛」の美術監修や映画「アメリ」の画や小道具など、世界を広げていったゾーヴァ。その裏話を読んでみると、興行的に成功した作品に携わったのにも関わらず、契約をきちんとしていなかったために、あまり懐はあたたまらなかった様子。そんなぼやきも含めて、自分の作品についてのこだわりや性格というものを、率直に語る感じからは、画家としての人生をすごく楽しんでやっているのだなということが、まず一番に伝わってくる。画家という職業はまさに彼の天職であり、一生涯、いや、生まれ変わってもきっと彼は画家として生きてゆくのではないだろうか…と、読み手に思わせる。でも、あまりにこだわり過ぎて、締め切りを守らないのだけはどうにかしましょう、ゾーヴァさん。

4062154234ミヒャエル・ゾーヴァの仕事
ミヒャエル・ゾーヴァ 木本 栄 那須田 淳
講談社 2009-04-25

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 ≪ミヒャエル・ゾーヴァの本に関する過去記事≫
 ・『ちいさなちいさな王様』(2009-06-08)


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コメント

ましろさん、こんにちは。

ミヒャエル・ゾーヴァの展覧会が
京都伊勢丹で開かれているので、行ってきました。
何の予備知識もなしで出かけたのですが、
可愛い絵の数々に、思わず「クスッ」と笑っていました。
アメリの映画の中の小物も、デザインしてますね。
箱舟の絵なんか、よかったです。

投稿: honyomi | 2009.07.13 23:31

honyomiさん、コメントありがとうございます。
ミヒャエル・ゾーヴァの展覧会に行ってきたなんて羨ましいです!
さすがに京都までは行けないので、わたしは画集でぐっと我慢です。
実物を観られたなんて、ホントいいなぁ…。
この本を読むと、ゾーヴァの画や作品だけでなく、
人柄にもぐっと惹かれますよ。
いつか展覧会にも行ってみたいです。

投稿: ましろ(honyomiさんへ) | 2009.07.14 06:35

ましろさん☆こんばんは
ゾーヴァさんの絵を見ていると幸せな気持になりますね。
9月になると横浜で展覧会があるので、それが楽しみです。
ヒョウ柄のパンツを履いているエスターハージーくんの絵を見たいなぁ!heart

投稿: Roko | 2009.08.06 21:39

Rokoさん、コメント&TBありがとうございます!
ゾーヴァさんの絵、素敵ですよね。
人を幸せな気持ちにさせる絵っていいですよね。
Rokoさんは展覧会行かれるのですね。よいなぁ。
近場だったら絶対に行っているのになぁ。
羨ましい限りです。

投稿: ましろ(Rokoさんへ) | 2009.08.06 22:23

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