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2008.05.18

言葉のミルフィーユ

20070514_016 少しずつ、けれど確かに言葉が重なってゆく。歳を重ねるほどに。人と出会うほどに。何かを学ぶほどに。何かを気づくほどに。そうして厚みを帯びた言葉たちは、強い意志をもってわたしたちの少し先をゆく。小澤征良著『言葉のミルフィーユ』(文化出版局)は、“夢”をテーマにしたインタビューや対談、大切なもの、大好きなもの、家族や友人との絆などに纏わるエッセーを収録した一冊である。人との出会いから見えてくる新たな世界は、わたしたちの進むべき道をほんのりと照らすようでもあり、読みながら頷くこと数十回。人と人とが出会うことの可能性と導かれることの不思議、そこに秘められた魅力を改めて感じてしまう。“人”というものの魅力は、尽きることを知らないのだ。

 著者がインタビューをしたのは、総勢12名。筑紫哲也、KONISHIKI、乙武洋匡、崔洋一、江國香織、北山陽一、ジョアン・ゲルキ、日野賢二、岩松了、ドランクドラゴン、山田洋次、森英恵。著者の同世代から、著者の父親の世代よりさらに上の世代まで、小さな頃の夢と今現在の夢について著者が聞き役となっている。この12名に共通して言えることは、自分のビジョンを大なり小なりしっかり持っているということ。そしてわたしが思ったのは、語るべき何かを持っているということの強みというものだ。今を誇れるからこそ、未来を語れる。その強みである。だからこそ語ることができる人たちの目は、煌めくほどであるということ。もちろん、そこには年齢の壁などない。

 “「新しい人」への伝言”と題された大江健三郎との対談では、繰り返し“注意深くあること”の大切さを問うてくる。常に注意深くあること。それは、新たな人との出会いや偶然と出会うための準備をしておく、ということである。これはつまり、偶然を必然へと変える努力というものだ。もちろん、ある方向性を持っているからこそ、注意深くいられる。持続性を持っているからこそ、注意深くいられる。こういう力を備えることによって、わたしたちは目の前の多くの情報の中から、本当に大切なものを見極めることだってできるようになるし、日々をより生き生きと過ごせるようになるに違いない。生きることに真剣な人の言葉は、いつだってひどく深く心に迫りくる。

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小澤 征良
文化出版局 2008-03

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