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2008.01.13

読む少女

20050601_44032 本とわたし。その出会いはめぐり、わたしもめぐる。そうしてめぐりめぐって出会った本との関係は、ときに何よりも親密なものになる。ときにわたしの背をそっと後押しすることだってあるのだ。ときに“読む”ことで自分を見出し、自分自身と対話をする。過去との自分と。今の自分と。これから先の自分と。岸本葉子著『読む少女』(角川文庫)に紡がれるのは、本との出会いをめぐる数々のエピソードである。たどられる著者の少女時代の記憶は、甘くもほろ苦い、何とも切ない懐かしい思いを呼び起こす。かつて子どもだった頃に誰もが思い悩んだことを、しかと綴ってくれているからである。そこには、様々な本との出会いがあり、夢中に読んだ著者がいて、確かにわたしたちもいたのだろう。

 このエッセイは、“読むべきときに読むべき本を読んでこなかった”という後悔のもと、本とのつかず離れずの関係を推奨するものである。この著者、子ども時代には「子どもの本」というだけで背を向けてきた本多数。学生時代には、ある反発から「若者らしい本」から背を向けてきた本多数…という、少々ひねくれた方だったりする。エッセイの中で繰り返し述べられているのは、その時々にしかできないことをやるべきだった…という思いだ。もちろん、大人になってから読むことでも新たな気づきはある。人といろんな出会いがあり、いろんな関わり合い方があるように。そして、何度でも出会うことになる本は、もうそれだけで糧となるはずである。

 わたし自身、こうして本ブログなんぞやっていながらも、実は名作と呼ばれるものやベストセラーなるものからは、縁遠いまま読書に励んできた。タイトルと概要だけを諳んじることができるだけで、実は読んでいない本の多いことと言ったら……。この『読む少女』の中に取り上げられている、高村光太郎『智恵子抄』、林芙美子『放浪記』、『蜻蛉日記』、パスカル『パンセ』、サン=テグジュペリ『人間の土地』なども、ほぼ未読に近い。あまりあるほどの情けない読書歴に、わたし自身愕然となる。だが、それでもいいのだ。すっと自分の胸に入ってきたときに読んだらいい。読む時期は自然とやってくる。それは必ずしも本というかたちでないにしても。

4043819013読む少女 (角川文庫)
岸本 葉子
角川書店 2006-11

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