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2007.12.26

永い夜

20070106_009 眠れぬ夜の悶々で、めぐる思考はぐるぐると。底なし沼の自己嫌悪。ときに途切れてひらめいて。いつしか想いは宙の果て。目覚めと眠りの狭間では、おかしなねじれの中にある。ゆらめき謎めく夜のとき。それでもわたしを見てくれる?それでもわたしを愛してくれる?想いはただただ駆けめぐり、何も変わらないまま朝が来る。ミシェル・レミュー作、森絵都訳『永い夜』(講談社)は、眠れぬ一夜を描いた作品である。愛犬と眠ろうとする少女の頭の中には、不思議な想いがぐるぐるしてくるのだ。シンプルな問いから、哲学的な問いまで。そうして永い夜の物語が、ときどきはっとするほどに迫力ある線画と共に描かれてゆくのである。

 少女の問い。それは、“永遠の果てはどこ?”にはじまり、人が生きていく上で抱えうる、不安や孤独といったものである。そんな問いからは、微妙な年頃のアンバランスに揺れる想いが切実に伝わってくる。例えば“自分で自分がどうにもならないとき だれかにぎゅっと抱きしめてほしいと思う”とか、“だれか どこか上のほうからわたしを見ていてくれる? いつもすべてお見通しのママ以外の、だれか”とか。もちろん、これらはある意味大人になった者にとっても同じ想いに違いない。それも、永遠の。とりわけ、眠れぬ夜には誰かに寄り添っていてほしいものだし、ぎゅっと抱きしめていてほしい。強がりなどは捨ててしまいたいと思う。

 この作品、“もしもこの世界がすべて夢で、夢のほうが現実だったら……?”という問いから、一気に迫力を増すのだが、その絵のタッチがたまらなく繊細である。稲妻に怪獣にもののけ、地獄、宇宙などなど、どれもこれもが素敵なのだ。そして、結末までの展開がなんともたまらず…。ここでは敢えて詳細は書かないが、永い夜にも終わりがあるものなのだなぁとしみじみしてしまうのだった。そうして、わたしたちは皆生きているんだなぁと。また、この作品、絵本と言いつつも、かなりの分厚さである。当然ながら、読み応えもある。タイトルが「永い夜」だけに、ページ数もそれだけあるのだろう。眠れぬ夜、悶々としながら、捲りたい一冊だ。

406209665X永い夜
Lemieux Mich`ele 森 絵都
講談社 1999-05

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コメント

“もしもこの世界がすべて夢で、夢のほうが現実だったら……?”

これ僕もたまに考えます!怖い夢みたときとか、気持ち悪くなる。
うーん面白そう。

投稿: マルハゲ | 2007.12.27 00:18

マルハゲさん、コメントありがとうございます。

考え出したところで答えは出ないとわかっていながらも、
ついつい考えてしまいますよね。
この作品、本当に面白いですので、ぜひ一読くださいませ★

投稿: ましろ(マルハゲさんへ) | 2007.12.27 19:00

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