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2007.08.09

名医ポポタムの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集3

20070106_008 奇想天外な展開と毒を含んだユーモアに、くらくらした。夏の暑さも加わって、この奇妙なる物語はひどくクセになるようだ。レオポルド・ショヴォー作、出口裕弘訳『名医ポポタムの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集3』(福音館書店)である。シリーズ第3弾の今回は、カバの医者ポポタムが主人公。ポポタム先生は、自らが発明したのりやポンプ、ペンキなどを駆使して、次々と患者である動物たちを治したり救ったりする。もちろん、ショヴォー氏とルノー君の何とも言えない息づかいの感じられる会話も楽しめる。ルノー君による序文も加わり、ますます楽しめる1冊だ。その他、「アザラシの子の話」「オオヘビとバクの話」「人食い鬼の話」の3編も収録されている。

 表題作「名医ポポタムの話」。カバのお医者さんという設定なのにもかかわらず、物語上では動物も人も皆、対等の立場にある。だから、アフリカからパリに赴いて人々の治療も行うし、どんな動物の治療も独自の手法で行うのが、ポポタム先生のポリシー。けれど、それだけなら立派なのに、どうもその治療方法というのが摩訶不思議なのだ。ザリガニ療法だとか、ポポタムのりやポポタミンなどなど、どうも怪しい。しまいには“患者が死んでからこそが私の出番”とばかりに、切ったかと思えば、貼り付けて、ポンプでふくらませて生きかえらせるのである。だが、ショヴォーの物語には毒が付き物。目には目を、歯には歯を。さらなる残酷な結末が待っているのだ。

 そして「人食い鬼の話」。人里で暮らすことになった鬼の運命を描いた物語である。この鬼、どうにも悪になりきれないところがあって憎めない存在。ずいぶん前から子どもを食べていなかった鬼は、食べる欲望に夢中になりすぎて脚の骨を折ってしまうのだ。そこへ来た、司祭によって助けられるわけだが、腕を切られ、歯を抜かれ、もう散々なのである。結局は、おとなしい鬼へと変わるわけであるが、実は人間の方が鬼なのではないか…なんてことを思わせる節がちらりと。こんな物語に対しても、ルノー君の反応は“鬼さんよかったね!”であるから、子どもの無邪気さもまた、侮れない。或いは人は皆、鬼である要素を持ち合わせているのかもしれない。

4834019497名医ポポタムの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集〈3〉 (福音館文庫)
L´eopold Chauveau 出口 裕弘
福音館書店 2003-05

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