独断流「読書」必勝法
ときどき本の読み方がわからなくなることがある。いや、そもそも本が好きだと言っておきながら、全く本を受けつけない時期も当然のようにやってくるわたしだ。分厚い本は苦手体質な上に、古典や名作と呼ばれる本から遠ざかりがちなこの頃でもある。こうして読書ブログなどしているものの、真の読書好きなのかは疑わしいところである。そんな思いを、清水義範著、西原理恵子絵『独断流「読書」必勝法』(講談社)を読んで痛感した次第だ。この書物、主に古典や名作についての読み解き本であり、新たな解釈にうんちくを取り混ぜながら、実に痛快に語ってゆく。すごい。これこそ、真の読書人。尊敬のため息混じりに、ただ読み耽ったのだった。
取りあげられているのは、20冊以上の名作文学作品たち。『坊っちゃん』にはじまり、『罪と罰』『嵐が丘』『高野聖』『ボヴァリー夫人』『細雪』『若い芸術家の肖像』『万延元年のフットボール』などなど、とにかく難解そうなタイトルが並んでいる。目次を見た時点で、ダメだな、これは…なんて思うのは、きっとわたしだけではあるまい。けれど、この読み解き本を読んでみると不思議。堅苦しかったはずの名作たちとの距離が、ぐっと縮まった気がするのだ。もちろん、難解であることに変わりはないし、分厚い作品は分厚いままである。自ら進んで手を出してみようなどとは思わない。それでも、少なくとも1冊くらいは手を伸ばしてみたくなるのである。
そんなわたしが手を伸ばしてみたくなった作品の中に、芥川龍之介の『河童』がある。清水氏は、この作品をひたすらできそこないのように評し、作品に著者自身の疲れを感じ取っているのであるが、その視点は不思議ととてもあたたかい。作品から垣間見られる著者の顔というものを丁寧に読み取っているように思えるのだ。そして、単純に面白いと言うのではなく、この作品の魅力を切々と語ろうとしている。こういう読み解き本にありがちな、あらすじや読みどころをどーんと解説するのではなく。嗚呼、本当にこの作品と向き合ったのだろうなぁと感じさせるのだ。だからこそ、わたしもいつしか向き合ってみたい…そんなことを思わせたのだろう。
- 清水 義範、西原 理恵子
- 講談社
- 1575円
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コメント
TBさせていただきました。
“独断流”とはいいながら、意外と本格的な書評で、古典作品の背景とか知らないことばかりで勉強になりました。西原さんの絵もいい感じで突っ込みを入れていたと思います。
投稿: タウム | 2007.11.21 22:01
タウムさん、コメントありがとうございます!
TBの方は反映されなかったようなので、
お手数ですが再度送ってくださると有難いです。
わたしも、この本はとても勉強になりました。
西原さんの絵もいいスパイスになっていましたよね。
読んでよかったと今でも思っております。
投稿: ましろ(タウムさんへ) | 2007.11.22 08:33