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2007.04.24

落葉 他12篇

20050525_021 生と死。そこに横たわる、逃れようもない孤独。そして、滅びゆく予感というもの。重たく立ちこめる雰囲気と共に、時間の流れを確かに感じた気がする。G・ガルシア=マルケス著、高見英一他訳『落葉 他12篇』(新潮社)。若き日のマルケスの作品群は、不条理だったり、オカルト的だったりするものが多く、始終不気味な印象がつきまとう。表題作「落葉」に関しては、マルケス作品として有名な「百年の孤独」と同様の、“マコンドもの”と言われる作品の1つで、人々の心情を豊潤に描いてあることが目を引く。後年の作品に見られる切れ味の良さは感じられないが、こういうマルケスも読めることが、なんだかとても贅沢のようでもあり、新鮮でもあり、面白く読んだ。

 表題作である「落葉」。この物語は、ある博士の自殺からその葬儀に至るまでを物語の軸とし、博士と関わりのあったある家族と、舞台となっているマコンドの人々に深く根ざす孤独を描き出してゆくもの。三人の人々によって代わる代わる語られる出来事を通じて、読み手はしばし混乱しつつも、重く暗い闇に呑み込まれてゆくよう。生と死に翻弄されるわたしたちを、そこに見た気がして、誰もが抱えうる逃れることができない宿命のようなものを感じた。生きているからには、必ず訪れる死。そして、栄えたからには、いつしか滅びゆく可能性のある街。満たされた今を生きるわたしたちの中には、どこか危機感というものが欠けていると、改めて感じた。

 また、作品の中で比較的読みやすかった「六時に来た女」については、全く違う印象を抱いた。この作品での魅力は、会話の絶妙さであり、テンポよく進む会話のリズムは、後年の作品に見られる簡潔な文章で描写され、ぐいぐいと読み手を引き込んだ。押し問答のような、男と女の言葉。そのコンビネーションの良さに、わたしはとても惹かれた。こういう作品こそ、物語として在るべき姿なのかもしれない…と考えたほどに。重苦しい雰囲気の作品が多かっただけに、とりわけ印象に残ったのかもしれないが…。他にも語りたい作品は多数あるが、語り尽くせないので(何しろ全部で13篇もある!)、ここまででお終わりする。わたしはもうすっかり、マルケスの虜だ。

4105090097落葉 他12篇
ガブリエル・ガルシア=マルケス 高見 英一 他
新潮社 2007-02-24

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