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2007.01.01

風に吹かれて豆腐屋ジョニー 実録男前豆腐店ストーリー

20061224_043 妄想を妄想のままにとどめない人がいる。もちろん、よい意味合いで、である。そして、成功しているからこその、よき妄想とも言える。今やジョニーと言えば、“ああ、おいしいよね”とか“そうそう、面白いよね”とかいうのは、もうかなり馴染み深い会話ではないだろうか。伊藤信吾著『風に吹かれて豆腐屋ジョニー 実録男前豆腐店ストーリー』(講談社)は、そんなジョニーに纏わる様々なエピソードを、綴った一冊である。その誕生から現在に至るまで、そして、商品開発に関するこだわり。伊藤氏が社長になるまでの経緯や、その脳内をめぐる思考などなど、実に興味深い内容が詰まっている。ジョニーの大ヒットの裏側を、堪能できる、なんともおいしい書物なのである。

 男前豆腐店。その名前からして、こんな豆腐屋が存在していいのか。こんな会社が存在していいのか…と、思う人は数知れずだと思う。だが、その裏側を垣間見れば、その名に託された思いというものをしかと受け止めることができる。この会社の社長。なんとも変わった人物なのである。“格好悪いが格好いい”という考えから、男前でもなければ、外人でもないのに、ジョニーと名乗る。そして、食品としては型破りなパッケージのデザインを提案し続ける。もちろん、中身である肝心の豆腐に対する思い入れだって、誰よりも熱い。材料一つにしても、頑なまでの思い入れがあるのだ。それに加えて、新しいものを生み出すこと、それを大きく展開してゆく野望も常に秘めているのである。

 そういう伊藤氏の姿勢から見えてくるのは、人としての先を見通す力のようなものである。常に、先を先を見ている。けれど、過去を蔑ろには決してしない姿勢。その一本筋の通った生き方そのものが、まさに“男前”の名にふさわしいと思えてくる。もちろんこれは、成功しているからこその実録ではあるけれど、その裏には多くの失敗も積み重ねられてきた年月もある。代表される「風邪に吹かれて豆腐屋ジョニー」の商品に至るまでの経緯は、そのネーミングから漂うような、決して気楽なものではなかったのである。だが、それを敢えてジョークにしてしまうことが、社長のこだわりでもあるのだと知ったとき、思わずふふっと笑みがこぼれてしまうのだ。なんて“男前”と。

 わたし自身、この「風邪に吹かれて豆腐屋ジョニー」は、まだ一度しか食べたことがない。スーパーなどで見かけたことがある人はわかると思うが、決して安い商品ではないのである。しかも、豆腐としては型破りなほどに風変わりな存在感がある。しかも、その味は豆腐というよりも、デザート感覚。格好いいのか格好悪いのか、オシャレなのかダサイのか、正直なんとも判断に困るような代物だったりする。それでも、人を惹きつけ、また食べたいなぁと思わせるものが、確かに“在る”とはっきり言える。だからこその、ヒット商品なのだし、こだわって作られただけあって、濃厚な味わいは新しかった。この先ジョニーがどこへ向かうか、その野望がどこまで実現されるのか。楽しみである。

4062135124風に吹かれて豆腐屋ジョニー (セオリーBOOKS)
伊藤 信吾
講談社 2006-08-09

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コメント

あけましておめでとうございます。
新年一発目のセレクトに、しびれました。
読みたくなる、いや、食いたくなりました。
今年も、よろしく。

投稿: あらき・おりひこ | 2007.01.02 15:31

あらき・おりひこさん、コメントありがとうございます!
狙っていたわけではないのですが、こんなの出ちゃいました。
某所からの献本を頂戴しました。ひそやかに別館ブログ、やってます。
今年もどうぞよろしくお願い致します!

投稿: ましろ(あらき・おりひこさんへ) | 2007.01.02 18:35

あけましておめでとうございます。

ジョニー、ただ者ではないと思います。少し前のことですが、トイザラスにて「男前豆腐キーホルダー」のガチャガチャ(ガチャポンとも言う?)を見つけました。ジョニーはどこまで行ってしまうのでしょうか…。(笑)

ということで、この本にも興味があります♪

今年もよろしくお願いします。

投稿: ゆら | 2007.01.03 07:33

ゆらさん、コメントありがとうございます!
ホント、ジョニーはただ者ではないですよね(笑)
この本にもジョニーのガチャガチャのことが触れられているのですが、
なんともユニークな発想で。どこまでやっちゃうのか、と。
なかなか面白いですよ。そしておいしい!
そしてそして、何よりも、
今年もどうぞよろしくお願い致します!

投稿: ましろ(ゆらさんへ) | 2007.01.03 12:50

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