空はきんいろ フレンズ
変わり者。よく言えば、個性的。けれどもそれは、周囲と違う自分を他者が判断する言葉でしかない。だから、当人は知らない。自分が周囲と、どれくらいずれているのかを。どんなふうに見られているのかを。そもそも、同じ人間なんて、誰一人としていないというのに、子どもの世界でも大人の世界でも、どこでだって、変わり者と呼ばれる人たちがいる。その不思議。その奇妙さ。なんだか変な言葉である。大島真寿美さく、細川貂々え、による『空はきんいろ フレンズ』(偕成社)を読みながら、ふとそんなことを思ったのだった。そう、これは変わり者同士の友情物語。互いに互いを“かわりもの”と思うアリサとニシダくんの春夏秋冬の4つの物語が展開されているのだ。
「人間のカタチのスイッチ」で、工事現場の光景に釘付けになるアリサ。その付近の小さな通りで、人間のカタチと人影が重ならないように見張っているニシダくんがいるのを見つける。普段はそれほどよく知らない者同士だった二人が急に近づく時が訪れるのだ。それでも、アリサにとってニシダくんは、やっぱりよくわからない存在なのだけれど。「げた箱は魔法のクスリ」では、アリサは決まって、体育の前になると腹痛を起こす。かかりつけの病院で処方されていた薬が偽物だったと悟ったアリサだったけれど、ニシダくんの言葉に勇気づけられて、腹痛を懸命に堪える。そう、学校のげた箱で。どんなものでも魔法がかかったように変化する瞬間。それをぱっと見せられる話である。
「夏のハッピーアワー」では、ニシダくんの家庭事情が明らかになる。ニシダくんの父親の少年ぶりは、なかなか面白い。むしろ、ニシダくんの方がずっと大人である。いや、大人ぶっているだけなのかもしれない。大人になろうと懸命になっているのかもしれないと思わず感じてしまう。そして、二人は「金色の光があるかぎり」で別れを迎えてしまう。アリサが父親の転勤で海外にゆくことになるからである。これまでも今までも、転校の多かったアリサは、別れを惜しむ友だちがいずれは自分のことを忘れゆくことを既に知っている。これまでだって、そうだった。だから、今度も同じに違いない、と。けれど、ニシダくんだけは違ったのだった。なんだかいつものときとは、違う気がしたのだった。
友情。わたしはそれを儚いと思っている。決して、強い絆ではないのだ、と。たぶんわたしが、本当の友情らしきものを抱きつつも裏切られ続けた結果。それが、横たわるからなのだろう。人は些細なことで急激に近づき、些細なことですれ違い、些細なことから離れゆく。血縁関係や家族なるものは、離れていても離れられない形式であるから、また別の話だ。特に子ども時代というのは、小さな世界のすべてが学校であり、友達であり、勉強である。だからこそ、友情たるものが重要で、その動向が日々のすべてを左右すると言っても過言ではないはずだ。誰かを思うこと。関わること。言葉を交わすこと。繋がりを見出すこと。些細だけれど、重要なのは、きっと大人になっても変わらないはず、なのに。なのにね。
![]() | 空はきんいろ―フレンズ 大島 真寿美 偕成社 2004-09 |
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コメント
児童書で、するすると読める作品なのですが、なんだかとても心に残る物語でした。去年読んだ本の中でもかなり上位にくるくらい。ニシダくんとアリサの関係、いいなぁと。わたしもこんな関係性を結べる誰かを見つけたいなぁと切に思いました。
投稿: まみみ | 2006.12.23 21:57
まみみさん、コメント&TBありがとうございます!
そう!するする読めるのに、じわんと残りますよね。不思議。
わたしもニシダくんとアリサのような関係を築けたら…と思います。
今さら子ども時代をやり直すのは嫌ですけれど(笑)
今年読んだ本の上位って、なんだろう…?考えてみます。
投稿: ましろ(まみみさんへ) | 2006.12.24 07:53
こんばんは。
読後感がすごくよかったです。
「げた箱は魔法のクスリ」のニシダくん!
すごく大人っぽかったです。
投稿: なな | 2008.08.27 22:13
ななさん、コメントありがとうございます。
ホント、読後感のいい作品でしたよね。
ニシダくんみたいな男の子と、
少女時代に出会いたかったなぁと思うわたしです。
投稿: ましろ(ななさんへ) | 2008.08.28 00:39