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2005.07.24

ボロボロになった人へ

20050721_103 イラスト、文筆、写真、デザインなど、多方面で活躍するリリー・フランキー・著『ボロボロになった人へ』(幻冬舎)を読み終えた。私の心境は決してボロボロではないのだけれど、何かあると知らぬ間に自虐的な傾向を示す心と脳内物質(例えばドーパミン)が、ボロボロという文字にじんと反応した。率直で素直な言葉で語られる物語は、刺激的かつ魅力的。心地よく力を抜くことが出来る読みやすい文体は、好感が持てた。くすりと笑ったり、ほんのり胸が熱くなったり、たまにはこんな脱力した読書もいいかなと思う。

 「大麻農家の花嫁」「死刑」「ねぎぼうず」「おさびし島」「Little baby nothing」「ボロボロになったひとへ」の6つの短編からなる。どの物語も味わい深く、面白いのであるが、私が一番楽しめたのは、「死刑」。犯罪と名の付くものは、全て死刑になってしまうという法律のもとでの話である。10代であろうが、軽い罪であろうが全く関係ない。1回きりの裁判で決められるのは、どんな死刑にするかという1点のみ。そんなムチャクチャな…なんて思って読んでいると、私たちの暮らす社会の矛盾点を著者はさらりと指摘してくる。世の中が、いかに不平等か。人間は、いかに残酷な生き物か。

 そして、「おさびし島」。突然、全てのことがどうでもよくなってしまった男の話である。全てのことはくだらない。全ての人もくだらない。更に自分は、そいつらよりもくだらない。そう瞬時に感じた男は、失跡することを決める。行ける限りの最南端へ向かい、ある島に辿り着く。人口数百人。そのほとんどが年老いた男たちという、男錆詩(おさびし)島である。名の意味することを考えれば、オチは何となくわかってしまうので、これ以上は書かない。フィクションなのだろうけど、こんな島、或いは地域が実在しそうな気がしてしまった。ある意味、竜宮城みたいなものかもしれない。

 最後に挙げるのは「大麻農家の花嫁」。結婚くらい誰でもできる。決して難しいことではない。そんなことを思いながら、ある程度の年齢まで来てしまった女性。結婚情報誌で見つけた“旅行気分でお見合いしませんか?農家の花嫁実地体験”という記事を頼りに、寒村の農家へ向かう。辿り着いたのは、何とも奇妙な農家と人。見ているだけで涙が出そうになるほどくたびれた背中、屈折と自虐が花を咲かせたような硬い笑顔、幸せを人の半分も味わったことのないような風情…そんな負のエネルギーを持つ女性を求めている男。例え、“あなたはまさにそんな人”と言われたとしても、まるごと受け入れてくれる人に女性は弱いのだろうなぁ。

4344410033ボロボロになった人へ (幻冬舎文庫 り 1-3)
リリー・フランキー
幻冬舎 2007-08

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コメント

どもども。

>脳内物質(例えばドーパミン)が、ボロボロ

ちょいとショックなことがありましてね、今の僕はドーパミンだけでなくセロトニンもボロボロです。
こっちはストレスに弱いんだから、干渉しないでくれよ、って言いたいです(-_-;)

投稿: デミアン | 2005.07.24 18:51

デミアンさん、ど、ど、どうされてしまったのですか?
セロトニンもボロボロ!?
こちこちの心と体をリラックスしてくださいまし。
リラックマからのほっこりメッセージを、デミアンさんに送ります!
 
 “そんな日もありますよ”
           
「だららん日和 ~リラックマ生活2~」より。

投稿: ましろ(デミアンさんへ) | 2005.07.24 19:32

変なこと書いてゴメンよ~(T_T)/~~~

いろいろありましてね。生きるって大変なことだと思います。

投稿: デミアン | 2005.07.26 08:54

デミアンさん、ちっとも変なことじゃないですよ~。
生きているといろんなことがあるけれど、悪いことばかりじゃないと信じて参りましょう!
あなたも私もビューティホー♪な気分で。

投稿: ましろ(デミアンさんへ) | 2005.07.26 17:12

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