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2005.05.13

こんなにたしかに

20051113_055 教科書でお馴染みの「つけもののおもし」や「てんぷらぴりぴり」などの詩で知られる、まど・みちおさんの新しく出た選詩集『こんなにたしかに』(理論社)。まどさんは、現在95歳だという。人間味あふれる慈しみや暖かみの感じられる詩が、水内喜久雄選・著で収録されている。4つの項目「やさしいけしき」、「よかったなあ」、「なにもかにも」、「いま!」に区切られており、その詩の世界にたっぷりと浸ることができる。

 詩集を読んだのは、2年ぶりぐらい。母が図書館で借りてきたのだが、“まど・みちお”の名と“てんぷらぴりぴり”に思わず反応して一気に読み終えた。まどさんの詩には、幼稚園時代に、“くろやぎさんから おてがみ ついた しろやぎさんたら よまずに たべた しかたがないので おてがみ かいたー♪”という印象深いフレーズの「やぎさん ゆうびん」(『ぞうさん』収録)という歌で出会っている。身振り手振りと合わせて歌った覚えがある。くろやぎさんが最初だっけ?しろやぎさんだっけ?と何とも懐かしい。

 この『こんなにたしかに』には、つい自分で生きているかのように感じてしまう、私のような愚かな心の持ち主に教えてくれる。生かされているのだということを。数え切れないたくさんのまぶしいものの中で、ほんのひとにぎりの存在にすぎないのだということを。美しく、優しく、頼もしく、おいしく、素晴らしいものが世界には山ほどあるということを。そばには草木、鳥、獣、虫などがいるのだということを。そして、めいめいに違っているものの存在を気づかせてくれるのだ。

 ときには雨に降られて、風に吹かれて、太陽に照らされて…あぁ、よかったと感じられることの幸福さを思った。私たちの耳に届くかすかな気配にそっと気持ちを傾けて、小さきものを愛おしく見つめる。その命を、その働きを、まるごと感じる。小さきものの視線で、さらに広くなった世界を慈しむように眺める。いつまでも忘れないようにと。正しいと思うことを、本当だと思うことを、美しいと思うことを、決して消さないようにと。

 私たちの“今”はいつのまにか“さっき”になり、ここだと思っている“ここ”は“あそこ”になる。新しい私たち、新しいここ。はるかな寂しさで胸をいっぱいにする安らかさと幸福さ。それらに疑問を感じつつも、わけへだてなく訪れる今日という日に感謝する。生かされているということにも。“私”という存在があることにも。まどさんの詩はそう語っているように思う。

4652038488こんなにたしかに―まど・みちお詩集 (詩と歩こう)
まど みちお
理論社 2005-03

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コメント

ANDANTE blogのあさひです。お久しぶりです。
「こんなにたしかに」、私が中学のとき(H11年度)のNHK全国学校音楽コンクール第66回で課題曲になっていて、歌ったのを思い出しました。山本純ノ介さんという方の作曲でした。ものすごく難しかったです。メロディーもさることながら、この詩の内容を中学生で理解するのは困難な作業でした…。

投稿: あさひ | 2005.05.30 21:06

あさひさん、コメントありがとうございます!
お久しぶりです。確か3月以来でしょうか。来てくださって、とっても嬉しいです。
「こんなにたしかに」って、歌になっていたのですね。知りませんでした。詩って、歳を重ねるたびに違う発見があってよいですよね。きっと、中学時代に感じる思いと今感じる思いには、それぞれのよさがあるのでしょうね。私も歌ってみたかったです。

投稿: ましろ(あさひさんへ) | 2005.05.31 15:51

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