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2005.05.12

私は猫ストーカー

20050511_008 いつも何気なくどこかへ出かけていく猫を追いかけて、町で見かける猫を探して、あとをつける著者。そう、まるでストーカーみたいに。路地裏や駐車場、空き地などで見かける猫はノラ猫ではなくて飼い猫かもしれない。もしかしたら、飼い主には見せないあられもないような格好をしているのかもしれない。そんな、あなたの知らない猫の世界を綴った、浅生ハルミン著『私は猫ストーカー』(洋泉社)。新書サイズで手に取りやすく読みやすいこの本に、猫好きなら思わず迷わず一目惚れしてしまうはず。

 はじめに出てくる「あなたにもできる猫追いの手引き」では、めぼしい標的の見つけ方、猫ストーキングに適した服装、猫に取り入るためのテクニック、これだけは守りたい猫(十戒ではなく)七戒が記されている。後半は、「実録・猫ストーカーファイル」で、町で出会った猫についてのレポート&海外遠征(?)の様子が写真とイラストと共に綴られている。項目だけ並べてみても妙に何ともおかしいのだけれど、内容もくっくと笑ってしまう。それは真剣で大真面目なせいなのか、イラストや文体のせいなのか…この雰囲気、うまく伝えられないのが悔しくなる。ぜひ、ぱらぱらっとでも読んでみて欲しいと切に願う。

 中でも、服装の決め手となるのが“ご近所対策”だというのがいい。もちろん、猫をおどかさないような服装でなければいけないのだが、あくまでさりげなくその場の雰囲気にとけこむことが大切だという。だから、イラストはスポーツウエアや作業着ではなく、ちょっとそこまで的な雰囲気のスカートとなっている。“私は通りすがりの猫好きです。怪しい者ではありません”ということをアピールするような善良な市民風を心がけなければならないらしい。これって、結構難しいのではないだろうか。そもそも私って何者?なんて考えてしまうのだから。

 「実録・猫ストーカーファイル」で印象深かったは、人口よりも猫の数の方が多い島、マルタ島(地中海にある人口約39万人の島)でのお話。ここでは、増え続ける猫に関する様々な問題を抱えているという事情があるのだが、素敵な猫好きさんとの出会いが何ともよい。“あなたは猫のどんなところが好きですか?”という問いに対して猫の保護施設に猫を選びに来たカップルが言うのだ。“猫がいるとグッドバイブレーションだからよ”と。そして、続けて男性が言う“僕は猫がいないとバッドバイブレーションだ”と。その堂々たる態度に、心の中で拍手喝采する著者。猫は、人の心に触れているのだ。

 猫の世界は、奥が深い。猫を飼っているということだけで、何となく知っているような気持ちになっていたことが恥ずかしいくらいに。私のそばでくつろいで眠っている猫たちを横目で見ながら、“あぁ、私はこの子たちのことをどれくらいわかっているのだろうか”と考えてしまう。お互いに一方通行の思い、時間、やりとり…それでも愛おしいと感じる気持ち。かすかにもれる寝息が、今日は特別心地よい。

 ≪ましろのオススメの猫本≫
  保坂和志著『明け方の猫』(2005-04-25)
  中島らも著『とらちゃん的日常』(2005-01-07)
  イーラ著『85枚の猫』(2004-10-22)

4896919114私は猫ストーカー
浅生 ハルミン
洋泉社 2005-04

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