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2005.03.28

秘密。

 雑誌『ダ・ヴィンチ』やODNサイトに掲載されていた短編をまとめた、ダ・ヴィンチ編集部/編『秘密。』を読んだ。“私と私のあいだの十二話”と題されたこの本は、レコードのA面・B面のようにひとつのストーリーが別の2人の主人公の視点で描かれている。些細な出来事が2人の視点で綴られることで、状況や立場の違いや受け止め方によって大きな広がりを感じさせる。もちろん、考え方もそれぞれ違う。言葉の裏側を覗かせてもらったような、一度で二度もおいしい想いをさせてもらったような、そういう気分になる。しかも12人の豪華な作家人の顔ぶれにも惹かれる。吉田修一、森絵都、佐藤正午、有栖川有栖、小川洋子、篠田節子、唯川恵、堀江敏幸、北村薫、伊坂幸太郎、三浦しをん、阿部和重という…

 私が一番愛する作家である・小川洋子さん、艶っぽい文章が魅力的な・堀江敏幸さん、穏やかでさらりとした心地よい文章の・北村薫さん、最近私の中でかなりの大マイブームとなっている・三浦しをんさん。これらの4人の紡ぐ物語に特に注目して読んだ。作家それぞれの個性を感じる直筆サイン(?)を見て、この作家さんってこういう字を書く人なのだぁと妙に感心して楽しむこともできるし、どの話を読んでも作家さんの色の違いを感じる。短編と言っても、通常の短編よりもかなり短いので、開いたページのところから読む楽しみもある。それとも、順番通りに読むのはタブーだろうか…活字中毒を名乗る資格ナシだろうか…などと思いつつ。

 やはり、大好きな小川洋子さんの「電話アーティストの甥」&「電話アーティストの恋人」から読んだ私。短編の内容については、短過ぎるのであまり触れられないが、伯母に対する甥の温かな優しさに溢れる物語である。喜び、恥じらい、ためらい、哀しみという豊かな表情を持った伯母の作品。それは、甥の手によっていつまでも伯母の温もりを持ち続けるだろうことを思わせる。何とも愛しく穏やかな、そして小川洋子さんの独特の世界観を放つお話である。あぁ、もっともっと小川洋子さんの文章が読みたい…そんな感情をふつふつとわかせる。

 マイブームである三浦しをんさんの作品「お江戸に咲いた灼熱の花」&「ダーリンは演技派」。これはもう、かなり不思議なおかしさである。何ともニヤリとなる、設定とキャラクターと物語展開。“貴方のことが大好きですぅー!”と叫びたくなるような笑みをもらしてしまいそうなお話。これは、ネタバレになるといけないので抽象的にしか言えないのだけれど…この短編をきっかけに三浦しをん全作品制覇を目指したくなってしまった。というか、もう既にそんな気持ちにはなっていたのだけれど。何てこの作家さんは表現の幅が広いのだろうと深く感心。

 北村薫さんのちょこっとやんわりミステリーっぽい短編も、まさにこれこそ“秘密”を描いた堀江敏幸さんの短編も他の作家さんの作品も期待を裏切っていないと思える。何とも充実した1冊となっている。それにこの本の佇まいはいい。髪の長い少女の写真が表紙。その少女の見つめるその先に何か秘密めいた情景が広がっているのでは…などと想像を膨らませてしまった。柔らかい雰囲気が素敵だ。この少女と同じ髪型(ストレートのロング、ぱっつん前髪)の私は、「やはり女性は髪が長くなきゃっ」なんて思うのだった。この少女の髪の長さまでもう少しだから、もうちょっと伸ばしてみようかなとも…

4840112347秘密。―私と私のあいだの十二話 (ダ・ヴィンチ・ブックス)
ダヴィンチ編集部
メディアファクトリー 2005-03

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コメント

ましろさん、こんばんは(^^

僕も今日、会社帰りに購入しました。ホント豪華な執筆陣ですよね。
まだ読み出してはいないんですが、間違いなく三浦しをん嬢から読むでしょうw

ってか、この少女の長さまでもう少しって、ましろさんの髪、すごい長いんですね♪
ぷち驚きですっ

投稿: Kazuma | 2005.03.28 22:08

Kazumaさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。

今日、私も買ったのですよぉー
短いのでさくさく読めてしまって、
もったいないくらいにあっという間デシタ。
三浦しをん嬢、素敵過ぎますよぉー♪
楽しんでくださいませませ。

私の髪、今は胸が隠れる程度です。
1年以上美容室へは行ってないのです。
自分で切ってます。でも、背がミクロなので、
バランスとっても悪いのですよー。
いつまでも少女のようでいれたらいいのに…

投稿: ましろ(Kazumaさんへ) | 2005.03.28 23:15

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 著者は、吉田修一、森絵都、佐藤正午、有栖川有栖、小川洋子、篠田節子、唯川恵、堀... [続きを読む]

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