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2004.12.22

生贄(いけにえ)

 1996年、「ボディ・レンタル」で第33回文藝賞優秀作を受賞し、ベストセラーとなった佐藤亜有子の2作目である「生贄」。女性ならばはまってしまう要素たっぷりの官能ホラー作品である。とにかく切ない。森の中を正体のわからない者たちから逃げる少女。グリム童話のような残酷なファンタジー。禁じられた鍵を使って次々と扉を開けてゆくときの緊張感。いつまでも続く迷宮の中に、リアルな現実が待っている。はっきり言って救いのない物語である。でも、そこが私は好きである。本の世界へと現実逃避してしまいがちな私にとって、本の世界も現実と同じように救いがないこともあるのよと、気づかせてくれるから。

 「生贄」の主人公である19歳の娼婦とは誰のことなのか、彼女はなぜ娼婦になったのか、森の中で追っ手から逃げていた少女とは同一人物なのか、彼女が犯した罪はどんなものであるのか…明らかにされないたくさんのモヤモヤとした気持ちが、心の中でうずく。20歳になれば、娼婦の生活を終えることができると信じる少女。そして、彼女を何とか救いたいと願う青年。けれど、ラストシーンは冒頭のシーンにつながり、繰り返される物語。主人公を追いつめる7人の男たちは、他ならぬ彼女自身だったのだろうか、想像の世界…?何度読んでも毎回、解釈が違う不思議な小説である。

4309405908生贄 (河出文庫―文芸コレクション)
佐藤 亜有子
河出書房新社 1999-09

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» ボディ・レンタル [丑日記]
佐藤 亜有子の本は好きです エロティックな内容だけど 全然そういう雰囲気じゃなくて 文章もすごくさっぱりしてる。 読み終わった後にせつないとか、痛い... [続きを読む]

受信: 2005.03.29 21:09

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