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2004.12.04

リバーズ・エッジ

 私の場合は、漫画と言えば小学生時代は「りぼん」。中高生時代は「別マ」であった。しかも、母親から「マンガ禁止令」の出ていた私は「りぼん」を小学生で卒業してから、まともにリアルタイムで漫画を読んでいない。まともな本屋がなかったせいもあるのだけれど、とにかく情報源がなかった。クラスの数少ない友達間での流行ったモノ以外は、親元を離れた18歳以降に読んだ。それからは、都内の大きな本屋で買いあさりまくりの漫画読み放題期突入である。

 その頃に、まず買ったのは岡崎京子の漫画である。雑誌「ダ・ヴィンチ」で岡崎京子著「Pink」を知り、それだけは読んでいたので“最新刊”と帯に書かれていた「リバーズ・エッジ」を買った。けれど、読んでみたら4年前の発売本であることや22刷であったことを知った。そして、既に療養生活を送っていたことも後から知ったのだった。それをきっかけにして、ほとんどの手に入るだけの出版作品を買いまくり読みまくった。

 最近になって、実家に帰った私は「リバーズ・エッジ」を本屋でよく目にするようになった。本は、新たな表紙に変わっていた。私が持っている本の帯には大きく“死と暴力と愛”と書かれていて、表紙はシンプルな登場人物のハルナと山田君のデッサンっぽい装画である。岡崎京子の漫画をリアルタイムでは読んでいない世代の私であるが、この「リバーズ・エッジ」は、するりと世界に入れた印象が深い。妙にリアルで、物語の舞台となる殺伐とした街、学校、人間関係がしっくり合っていた。登場人物の年齢が近かったせいもあるのだろうけれど、せつなくて過激な物語が素直に好きだと感じたのだった。それは、今でも変わらない。

 宝物の1つである死体を見るとほっとする、勇気が出るという山田君。死体を見て「世の中みんなキレイぶってステキぶって楽しぶってるけど、ざけんじゃねえよ。ザマアミロ」と思う摂食障害を抱えるモデルのこずえ。そんな2人と奇妙な関わりを持つ、一見普通のハルナ。自分が生きているのか死んでいるのかわからないでいる登場人物たちばかりが登場する。何がどうなろうと、どうでもいい…そんな投げありな気持ちが伝わってくる。ハルナの周囲では、軽いノリで深い闇に落ちていってしまう人物たちが、心に問題を抱えたまま、もがき苦しんでいる。

 どこか壊れて生きる方が楽なのではないのだろうか…そんなコトを強く感じる作品であった。そして、壊れるコトは決して特別ではないコトが伝わった。私は21で本格的に壊れた。でも、心のどこかでは自分がいつか壊れるだろうコトは、想像が出来ていた。今から過去を振り返ると、そう思わずにはいられない。むしろ、心のどこかでは壊れるコトを望んでいたのかもしれない。壊れるコトに憧れすら持っていたのかもしれない。そんなふうに思ってしまう。実際に壊れてみて、壊れたからこそ見える世界もあることを知った。

 そして何より、岡崎京子が描いた世界はいつまでも私の心にいつまでも残るであろう。私の中では、最近単行本化された「ヘルタースケルター」の次に、この「リバーズ・エッジ」が好きな作品である。残酷で過激で、どこか冷めた視点で物事を見ている若者の心理を描ききった感じがするのである。

4796616691リバーズ・エッジ (Wonderland comics)
岡崎 京子
宝島社 2000-01

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