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2004.12.27

椰子・椰子(やし・やし)

 山口マオさんの絵と「お読みになったら屹度気に入られます」という、南伸坊氏の言葉を頼りに読み始めた川上弘美著『椰子・椰子(やし・やし)』(新潮文庫)。何とも風変わりな作品である。春夏秋冬にわかれていて、日記とショートエッセイのようなもので構成された不思議な世界。この本には、川上ワールドに引きずり込ませる何かがある。そう感じた。

 主人公は結婚していて、子供もいて、片思いの人もいて…と何とも気の多い忙しい人物である。夢日記のような文章だし、主人公の友人・山本アユミミは名前からして普通じゃないし、ベランダに勝手に来るジャン(ルイかもしれない)との交流も愉快である。それは奇妙で、とぼけていて、不気味。子供を丁寧にたたんでから外出するところは特に「えっ?」と思わせられてしまった。山本アユミミは、ちょっと可愛くてユーモアがあって探さないでと言いつつ、探してもらうことを望んでいたりして(しかも土産を欲しがっていたりもする)…印象深い登場人物。なかなかのやり手である。ジャン(ルイかもしれない)は、結構無遠慮な奴らであり、これまた賢いなかなかのやり手である。読み始めたら、この世界からなかなか抜け出せない。作者の策略にはまっていく、いや、はまっている自分に気づいたときにはもう遅いのである。

 この小説(と言ってよいのか悩む)は、奇妙で不気味でありながら、安らかでおおらかな存在感を放っている。南伸坊曰く、名著と言われる稲垣立穂の「一千一秒物語」とどこか似た雰囲気を持っているのかもしれない…に思わず納得してしまった。

4101292310椰子・椰子 (新潮文庫)
川上 弘美
新潮社 2001-04

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