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2004.12.03

800

 2年前の初夏のことだった。好きだった男性に本を薦められた。活字中毒なくらいに読書好きな私よりも、はるかに読書量の多い人だったことをよく覚えている。その本は、川島誠著「800」だった。本を読んで、とてつもなく興奮したのは初めての経験だった。本来ならば夏に読むべき1冊なのだろうけれど、心も体も寒くなる季節にあったまりたい私は、この本のコトをふと思い出した。

 陸上競技場を2周する800メートル。100や200なら決められたコースをただ思いきり走ればいい。5000メートルなら、持久力がものをいう。800メートルは、短距離なみのスピードで、400メートル・トラックを2周(TWO LAPS)する。

 2人のランナー、中沢と広瀬がかわるがわる一人称で語るこの競技の魅力。若者らしさのあるさわやかな、でもリアルな物語である。スピード感、空の青さ、緑の鮮やかさ、匂いや音、身体の動きのひとつひとつ、風をきるあの忘れかけていた「走る」を思い出す。小学生以来、まともに走っていない私なのに、ものすごく走りたくなったのを今でも覚えている。大学までの道のりを自転車で猛スピードでこいでみたりしてしまったコトも…そして、走った気分になる。スポーツって、素敵…という気持ちにさせてくれる。いつの間にか胸も熱くなっていることにも気づく。不思議な小説である。

 川島氏の無駄のない文章や描写の繊細さ、洗練された感覚に女性ならコロッときてしまうだろう。男性なら、うんうんと頷いて同感だとかんじるのだろうか…。私は女性だからわからないけれど。

4043648014800 (角川文庫)
川島 誠
角川書店 2002-06

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