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2004.11.07

alones

 4年前に出版された桜井亜美著「alones」はとても切ない。誰もがみんな孤独な存在なのだと思い知らされる。勉強でしか自分の存在を主張する方法を知らない主人公は、親からの愛情を感じることなく、幼年期のトラウマを抱えながら、クールな自分を演じて生きている。それは、どこか10代の頃の私自身と似ていた…

 特に似ていると感じたのは、数学の問題を解いていると気分が落ち着くというくだり。それは、「静謐で調和的で非情緒的な美しい世界で、バッハの音楽を聴いている気分と同じ…」そう、私はグレン・グールドのバッハをBGMにして、数学の問題を解くことが好きだった。数学の問題には必ず答えがあり、正解を導き出すことができた。でも、人間の絡む問題には正しい答えが見つからなかった。だから、人には何も求めないことにしていた。そう思えば、利用されても傷つかずに済む。必要以上に感情を出さずに過ごせる。そうして、自分で自分を押し殺して、部屋にこもっていた頃もあった。

 この物語は、新しいスタートラインに主人公が立ったところで終わっている。その後の主人公の生き方が知りたい。果たして幸せは訪れるのか、トラウマの穴を埋めることはできるのか…。いつだって、小説は答えを教えてくれない。答えは人それぞれ。人の数だけ存在するのだから。

 今の私は、10代の頃と変わった。自分の人生は、他人に愛されなくても自分が愛するだけで充分。以前は、誰かに愛されることばかりを強く望んでいたけれど…。「今が最高」だと常に思っていれば、幸せはすぐ手の届くところにある。そんなふうに思いながら生きている。正直、そう思わなくては、とてもやってられない。生きることはとても厳しいのだから。

4877288783alones (幻冬舎文庫)
桜井 亜美
幻冬舎 2000-06

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