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2004.11.19

ロリヰタ。

 昨日更新したブログ「ハネ」が収録されている嶽本野ばら著「ロリヰタ。」。インタビュー取材のため、スタジオを訪ねた作家の<私>は、モデルの撮影をのぞいて行く。「ロリータファッションで行こう」などという企画で、モデルの君は、ロリータの格好をさせられ、「何かが違うの」と、カメラの前に立とうとしないのだった。ロリータファッションに詳しい<私>は、急きょ、その日だけ<君>のスタイリストとなる。

 <君>との出会いによって、世界が広がった<私>。彼女と同等でいたい…そう思い、旧式の携帯から彼女とおそろいの携帯を買い換える。モデルの仕事の際に泊まるホテルで、夜な夜なトランプやおしゃべりをしていくのだった。

 かつて<私>にも愛する人がいた。僕らを切り離そうとするこの世界から脱出しようとしていた。が、彼女の手を或る時、放してしまった。彼女は亡くなり、僕は犯してはいけない過失を犯した。だから、人を好きになることができない…そう思っていた。孤独という牢獄に放り込まれたのだった。煉獄(れんごく)に生きることを余技なくされた罪深き僕のために、<君>は泣いてくれた。

 そんなささやかな幸せもつかの間。銀座の文壇バーでベテラン作家と喧嘩になり、その作家がしくんだスキャンダル記事が出てしまう。そして、愕然とする事実を知らされる。<君>は、小学4年生の9歳だったのである。

 <君>との連絡はメールで続けていた。「乙女のカリスマ作家、夜の囲い妻はなんと小学生」などという下品な見出し、淫行罪を犯しているとまで書かれてしまう。<私>は、そんなことより、君を好きになってしまっていたことに動揺を覚えた。ロリコンではなく、あくまで偶然、恋してしまった相手が小学生というだけなのであった。

 しばらくの間はマスコミ騒ぎが続き、<君>と会えない日々が続く。あるとき、<君>からのメールに応答する。わざわざ彼女と会うために20万ものホテルの部屋をとってまでも。作家なのに言葉が伝わらないことに落胆する僕のために、「言葉なんて、思ったことの全部が伝わらなくて当然なんだよ」と。何を伝えるかが問題なのではない。伝える内容よりも、伝えようとすることが重要なのだ。拙い言葉でもいい。誤解を受ける言葉でもいい、伝えようとする必死さこそが想いを運んでくれるのである。

4104660019ロリヰタ。
嶽本 野ばら
新潮社 2004-01-30

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33 嶽本野ばらの本」カテゴリの記事

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コメント

ましろ様、こんばんは!岡枝です。本日やっと『ロリヰタ。』の『ロリヰタ。』を読み終えまして、ログを書いてなぞみました。『ロリヰタ。』は、嶽本様に既に惚れ込んでおりました私にとっては、色々と複雑な想いを掻き立ててくださる内容でして…軽く失恋気分♪ららら~♪でした。ましろ様は大丈夫でしたか?ログを拝読させて頂きました限りでは、私のように愚かな嫉妬心に捉われずに読了されましたように、うかがえますが。強いなぁ、ましろ様は…では、また!僭越ながら、後程TBさせて頂きますね。今度は重複しないように頑張ります!

投稿: 岡枝佳葉 | 2005.05.10 04:14

岡枝さん、コメント&トラックバックありがとうございます♪
“軽く失恋気分”、わかります。わかりますとも。実話なのではないかと、何度思ったことか…そして、こういうストーリー展開&設定ってずるいのではないかと、勝手に野ばらちゃんを憎んでしまいました。
この記事を書いたときは、もう5回ほど読んだあとなので、私の勝手気ままな怒りもおさまり、冷静になってからのことでした。
しかし、読み返してみたらかなり恥ずかしい文章で…申し訳ないです。時間ができたら直さなければと思っております。

投稿: ましろ(岡枝さんへ) | 2005.05.10 17:55

初めまして、お邪魔します♪
トラックバックさせていただきました。

9歳の女の子の「言葉なんて、思ったことの全部が伝わらなくて当然なんだよ」という言葉。
ズシーンと来ました。
「そうか、そんなもんなのか」と。
でも、伝えようとする努力は、しないといけませんよね…。

また遊びに来ますね♪

投稿: のん@*モナミ* | 2005.08.26 11:29

のん@*モナミ*さん、コメント&トラックバックありがとうございます。
こんな拙い記事を読んでくださって、恐縮です。すみません。
私には、伝えようとする努力、全然足りておりません…

こんなブログでよかったら、ぜひまた遊びに来てくださいませ。

投稿: ましろ(のん@*モナミ*さんへ) | 2005.08.26 19:11

ましろさん、私もこの本大好きです。
二人の思いが切ないけど、大好き。
伝えようとする気持ちが大事だって、教えられました。

投稿: sonatine | 2005.08.31 00:40

sonatineさん、コメントありがとうございます!
とても切ない。切ないけれど、大好き。
私もそんな気持ちになります。
思い出したら、胸がきゅんきゅん痛くなってきました…

投稿: ましろ(sonatineさんへ) | 2005.08.31 07:50

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受信: 2005.05.10 04:20

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