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2004.11.18

ハネ

 嶽本野ばら著「ロリヰタ」に収録されている「ハネ」。著者の作品の中では、「エミリー」が一番好きなのだが、次に好きなのが、この「ハネ」である。全作品大好きなのだが…野ばらワールド全開で、孤独だけれど心地よいのだ。

 出来ればひっそり生きたいと願う白いロリータファッションの好きな少女は、どんなひどい残酷な視線を浴びようと、<貴方>が自分のために作ってくれた全長1mもある白い羽を付けて、表参道を目指して毎週日曜日に出かける。表参道の露店で、自分のものより少し小ぶりな羽を売るために。

 <貴方>はクールでクラスの誰とも口をきかない存在なのに、孤立していても美形で颯爽としていた。そんな<貴方>に憧れて<貴方>の読んでいたジャン・ジュネの「花のノートルダム」を買いに来た少女は、ばったり当人と出くわす。その本がきっかけで、<貴方>と少女の付き合いが始まるのである。<貴方>は高校を卒業後、専門学校へ進学し、デザイナーになることを決めていた。そして、少女の誕生日に手作りの羽をくれたのだった。<貴方>の家は小さな貿易会社をしており、手芸用品のパーツなどを輸入していたのだが、相手会社が倒産してしまい、白い鶏の羽根が山程あるという。羽を付けた自分の姿を見て、「強くなれる」と少女は思った。今までの何も自信のない、誰にも心を開けない自分とは違う自分になれると感じた。そして、<貴方>は言う「もっと小さくして、簡単に作れる羽を、露店で売ってみたいな。一緒に作って露店しない?」と。<貴方>に教えてもらい、少女は販売用の羽の作り方をマスターした。

 羽は、初めは全く売れなかったが、毎週日曜日に露店を開く度、確実に売り上げを伸ばしていった。お客さんの方が少女よりも早く表参道に来ていることも多くなった。次第にファッション誌でも取り上げられ、週限定50個の羽を付けた少女たちが増え、「ハネ族」と呼ばれるようになる。ネットオークションでは定価千円なのに、5万もの値がつけられていた。少女の関知しないところで羽だけがひとり歩きしてしまっていたのである。

 そして、「黒いハネ族」を名乗るロリータファッションの少女グループによる犯罪が起こるようになり、少女は濡れ衣を着せられて取調べを受けることに…「ハネ族」は街から姿を消し、露店を出すこともできなくなってしまう少女。30分もすれば完売した羽はもう売れない。売る場所もない。<貴方>もいない。居場所を完全に無くしてしまった少女。

 でも、路上に羽を付けて立ち続けることを決めた少女。<貴方>のいないこの世界でも、永遠はあるのだと信じて…

4104660019ロリヰタ。
嶽本 野ばら
新潮社 2004-01-30

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コメント

ましろ様、お久し振りです。岡枝です♪
遅れ馳せながら、本日嶽本様の『ハネ』を読了しました。

‘どんなひどい残酷な視線を浴びようと、<貴方>が自分のために作ってくれた全長1mもある白い羽を付けて、表参道を目指して毎週日曜日に出かける。’

↑このあたりの描写から、もう既に涙が滲んでしまいました!文字通り胸を締め付けてくださる作家さんって、私には今のところ嶽本様だけかも…読書量少ないからだろうけどね。

実は、少し前から嶽本小説の多大な影響で、三十半ばにしてロリータ服に目覚めてしまって、二回ほどお外に着て行ったことがあります。それで…やっぱり私がオバサンだからいけないんだろうけど、かなり注目浴びるんですよねぇ…

なので、ロリ服に+天使の翼まで付けてたら、世間からどんなにヘンな目で見られちゃうか…少なからず体感してしまっておりましたのよ。

ちなみに、まだ表題作の『ロリヰタ』は読んでいません。諸々の事情がありまして、『ハネ』の方が先に読みたくて。まだまだ嶽本様の御本はありますうちの半分も読めていないけれど、嶽本様の存在は私の中でかなり大きくなっております。ここ数年間での最大の発見!本当に出会えて良かった作家さんです。

でも、やっぱり今のところは私もましろ様同様に『エミリー』が一番かな。思いっ切り影響受けてエミリー・テンプル・キュートのカットソーまで買っちゃったしね♪

‘でも、路上に羽を付けて立ち続けることを決めた少女。<貴方>のいないこの世界でも、永遠はあるのだと信じて…’

↑ましろ様の文章を読んでいたら、また『ハネ』のラスト・シーンが浮かんでしまいました。お顔だけは浮かばないけれど、白いロリ服に身を包んで、天使の翼を背負った少女が。幻想的でメルヘンチックなんだけど、切ない情景です。

‘死者は永遠なり、生ける者の記憶の中に’みたいな台詞が、私の好きな『ミッション』という映画のラストに流れるんだけど、『ハネ』の主人公の女の子にも聞かせてあげたいなぁ…

私は読書量が少ないもんで…って言うか、読むのが極端にトロイ!ので、なかなかましろ様がログで取り上げなさっている御本を読みます機会が無いのが残念でなりません。でも、今後も遊びに来させて頂きますので、どうぞヨロシクね~♪では、また!

投稿: 岡枝佳葉 | 2005.05.05 00:14

岡枝さん、コメント&トラックバックありがとうございます。
こんなもの凄く拙い記事を読んでくださり、嬉しく思います。読み返してみたら、思いっきりネタバレしていて申し訳ないです。
文字通りに胸を締めつけてくれる作家さん…そういえば私も、野ばらちゃん(よしもとばななさん、私の友人はそう呼んでいます)だけかもしれません。誰にも似ていない孤高の作家(作品もキャラクターも)というイメージが定着しておりますから。好きな作家さんはいっぱいいますが、野ばらちゃんは特別です。

岡枝さん、ロリ服に目覚めたのですね。かろうじて心だけは乙女の私は、身も心もロリータになりたいと憧れつつ、なかなか実行に移ることができず…何とも悔しい状況なので、とっても羨ましいです。おまけにロリ服って、お高いものが多くて。秘かにハンカチを持つのがやっとです。

こちらこそ、今後も宜しくお願い致します♪

投稿: ましろ(岡枝さんへ) | 2005.05.05 16:26

はじめまして。
ロムっていたら辿り着いた者です(´ω`)

私にとって野ばらサンは1番好きな小説家であり、尊敬する方です。
作品では1番にエミリー、2番目にハネが好きです。
ブログを読んでいたらましろサンも同じ様だったので嬉しくなって思わずカキコしてしまいましたw

実はハネは昨日読了し終えたばかりだったりします;

…が、しかし!!

濡れ衣を着されてもなお"貴方"と求めた永遠を守り抜く為に路上に立つ"私"の姿に深く感動致しました!!!!!!


これからもノバラーとして野ばらサンの作品を制覇するくらい読んでいこうと思っております☆
ましろサンのブログにはその他沢山の作品の感想等も載っているのでそれを参考にしつつ、新たな作品にも感化されて行こうと思います。
これからちょく②出没するかもしれませんが、仲良くしてあげて下さい(^ ^)

投稿: †すず† | 2006.02.04 23:03

†すず†さん、はじめまして。コメントありがとうございます!
1番目にエミリー。2番目にハネ。一緒ですねぇ。私も嬉しいです。
見事なシンクロと偶然に感謝しつつ…

実は最近、ノバラーじゃなくなってきておりまして。
と、いうのは今まで作品をものすごく愛していたのですが、
最新刊「シシリエンヌ」に挫折してしまったんです。
それで、どうしたらよいのかと思い悩んでいたりします。
野ばらさんが本当に好きなのかしら、と。

そんな感じではありますが、もし宜しければまたいらしてくださいませ。
お待ちしております!

投稿: ましろ(†すず†さんへ) | 2006.02.05 00:08

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