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2004.11.14

オカルト

 散文35篇が詰まった田口ランディ著「オカルト」。はじめはタイトルを見て、ぎょっと思ったが意外に読みやすくておもしろかった。著者と同じく、私も正直なところ、幽霊の存在も超常現象もUFOも自縛霊もチャネリングも、全くと言っていいほど信じていない。信じることは、それが絶対だと思うことだから。人や自分のことについては、バカが付くほど信じやすいけれど…

 たぶんオカルトは、信じるものではなくて、感じるものだと著者は言う。ぼんやりとした感じを、ぼんやりと抱きしめていると、自分自身の中からイメージの輪郭みたいなものが流れてくる。それが生きる力になってゆく。例えば、空を流れる雲の形からも、とてつもなく悲しいときの夕暮れの一番星からも、生きる力を見い出せるのだ。信じたり、求めたりするから、騙されたり、損したりするわけで、ただ感じてみれば、森羅万象、全ての中に私たちを生かす力が満ちている。

 「花と魔法」では、タヒチにしか咲かない白くて可憐な小さな花、ティアレを島の人たちが摘んで耳に飾って1日だけのアクセサリーにするところを著者は見て思う。「花って命なんだ」と。花を見て、花の命を今まで見ていなかったことに気づく。花と生きるということが、どういうことなのかわかっていなかったと。家に帰り、早速ユリの花を買い、花を別の目で見るようになった著者。どんな花も美しく見える。そして、その美しさにドキドキする。あまりにも美し過ぎるから…

 「スプーンのココロ」には、超能力者である清田益章さんの話が出てくる。清田さんの結婚パーティの引き出物は、彼が念でねじったスプーンだった。200人くらいの出席者のために、1本1本念を込めて曲げていったのだと言う。それが何とも色っぽいよじれ方だと著者は思う。清田さんは、スプーンに「曲がれ」と命令するのではなく、「曲がってくれ」と頼むと言う。謙虚な気持ちはとても大切なのだとか。それは、どこか祈るという行為に通じる何かであると予感する。とてもせつなくて、少し痛みを伴う愛。まるで「恋」のような何かが、清田さんとスプーンの間には起きているのでは…

 他にも興味深い「数字の謎」がある。数字に込められた意味や象徴するもの、人生の転機を29歳で迎える人が多いことなどなど…この世はオカルトに満ちている(?)。ついつい、自分の身の回りのオカルトを探したくなってしまった。

4101412332オカルト (新潮文庫)
田口 ランディ
新潮社 2004-10

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