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2004.10.10

致死量ドーリス

 私が一番好きな漫画は、楠本まき著「致死量ドーリス」。漫画の世界を越えた感じがするほど、繊細な絵と哲学的な深い意味の何気ない言葉がとても印象的で、美しい佇まいなのだ。
 
 ドーリス(理想の少女)であり続けることに限界を感じている美学専攻の大学院生の密(みつ)。白くて細くて可憐で儚げで知的で…そんな彼女は絵のモデルをしていた。与えられた「ドーリス」という、絵の中の永遠に少女のままの皮膚に頼って生きていた。けれど、自分の存在だとか、こうあるべきなのが自分なのだとかについて、彼女はひどく悩み苦しんでいた。
 
 ある日、密が美術の専門書を買いにいつも訪れる本屋で、アルバイトの岸が密に一目惚れする。「ドーリスじゃなくてもいいの?」密が言うことの意味がわからないまま、付き合い始める2人。そして、お互いに深い闇へ向かってゆく…

 密はもう「ドーリス」は限界で、次を探していた。岸の理想の少女になることで、何とかギリギリのところでバランスを保っていた。密はバカじゃない。むしろ頭の良すぎることが、彼女の不幸だった。繰り返し、自分を傷つける密。自分で自分を追い込んでいるように見える行動。

 そして、2人の関係は思わぬ展開で幕を閉じる。

 変貌自在な密はかっこよく見えるけれど、やっぱり心の奥底の闇を感じる。密のように、白くて細くて可憐で儚げで知的で…そんなふうになりたいと思ってしまう私は、病的だろうか。でも、何度読んでも好きなんだなぁ「致死量ドーリス」。装丁もきれいだし。やはり、美しいフランス映画のような1冊であると思う。

4396761775致死量ドーリス (フィールコミックスGOLD)
楠本 まき
祥伝社 1998-04

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コメント

 大変参考になりました。
 私も漫画は好きですけど、「致死量ドーリス」……う~ん、今度探して読んでみます。

 

投稿: あまてらす | 2005.10.07 01:15

あまてらすさん、コメントありがとうございます!
参考になりましたか。何だかウキウキと嬉しいです。
「致死量ドーリス」、ぜひ。好みだとよいなぁと思います。

投稿: ましろ(あまてらすさんへ) | 2005.10.07 16:49

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