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2004.10.27

空飛ぶ馬

 ミステリーなのにミステリーっぽくないところがいい。特別な事件が起こるわけではない北村薫のデビュー作「空飛ぶ馬」。私のお気に入りのミステリー本である。彼の作品は他にもたくさん名作があるが、私はこの本から彼の作品に触れたので、あえてこの本を選んでみた。この主人公の私と落語家の円紫さんのシリーズは、現在5冊になる。この「空飛ぶ馬」→「夜の蝉(変換できない~!正しくは、難しい漢字のやつ)」→「秋の花」→「六の宮の姫君」→最近文庫化された「朝霧」と続き、主人公も大学生から社会人へと成長している。本の厚さも丁度いいので、「ターン」や「スキップ」などで挫折しちゃった人も気軽に読めると思う。

 暴力や犯罪がなくても本格ミステリーは成立できる。そのことを北村薫作品は教えてくれたように思う。ミステリーが大・大・大好きな人には、物足りないかもしれないけれど…考えてみると、社会派ミステリーは生々しく重苦しい。ベストセラーミステリーは、少々内容が軽い。新しい本格ミステリーは、奇妙な場所が舞台だとか、探偵がちょっと変人気味な気がする。個性的とも言えるのだけれど。

 だが、北村薫のミステリーは日常の謎を扱いつつも、論理性が高い作品だと言える。普通の人は見逃してしまう隠れた謎を見出すことのできる観察者の「私」と、名探偵的な「円紫さん」のすべきことをわきまえている大人の振る舞いが、とても素敵なのだ。人物描写、文章、謎の3つ全てが完璧と言ってよいだろう。

 読み始めたら、クセになる可能性アリなので要注意の本かもしれない。主人公と共に成長していくもよし、成長した主人公から読み始めるのもよし、である。短編からなるので、本をなかなか最後まで読むことのできない人にもオススメの本。秋の夜長に、ミステリーはいかが?…というか、今夜はもう冬みたいに寒いけれど

4488413013空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
北村 薫
東京創元社 1994-03

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コメント

To ましろさん

おはようございます、Kazumaです。
記事にリンクを貼っていただいてありがとうございます。
ちょっとはずかしいですね、ハイ(^^;

大したお礼じゃないですが、blogランキングにポチっとクリックしておきましたw

北村薫の本はとても好きで、中でもこの「私」シリーズが気に入ってます。
早く続編が読みたいですよね(^^

ましろさんのブログいろいろ読ませていただきました。
僕も角田光代とか山本文緒とかよく読みますよ。
ましろさんの「角田光代の本のタイトルが好き」ってあたりは「そうそうそう」って共感w
今は図書館で借りた『空中庭園』を読んでいます。

記事を彩る猫ちゃんがとてもかわいいですね♪
これからも頑張ってください。

ではでは

投稿: Kazuma | 2004.11.20 07:25

Kazumaさん、コメントありがとうございます。
私は実はミステリーは苦手で、唯一好きなのが北村薫作品!
シリーズものは主人公が成長していて、そこが好きです。
「覆面作家」シリーズも好きですよ。でもやっぱり、
「円紫さんと私」のシリーズが一番でしょうか…

角田光代さんの「空中庭園」は、確か賞を受賞した作品です。
とても読みやすく、でもちょっとした彼女の毒もありつつ、
楽しめた記憶があります。内容、だいぶ忘れてます…
再読しなくては…でも、ここ最近、毎月のように
角田さんの単行本&文庫が出ていて、追いつけない状況…
なんですよね。

猫、可愛いでしょ?(飼い主バカ)
トラ猫の方は撮りやすいんですけど、
黒猫には困ってます。撮らせてくれないんですよ。
トラ猫は一緒に寝てますよぉ~☆2匹ともシニアです。

投稿: ましろ(Kazumaさんへ) | 2004.11.20 23:28

こんばんは。昔の記事に失礼します。TBさせていただきました。
ましろさんところに北村さんの記事があるの、知りませんでした。
私はミステリもけっこう読みますが、これ、純粋に推理だけ読んでもけっこううなっちゃうのに、ミステリ特有の毒々しさが少なくて。確かにミステリ初心者にいいのかもしれません。
今再読中で「夜の蝉」で止まってます。主人公の成長が楽しみです。

投稿: ざれこ | 2005.10.17 23:18

ざれこさん、コメント&TBありがとうございます。
昔の記事にも大歓迎ですので、とっても嬉しいです!
何年経ってもミステリ初心者なのに、語ってしまっているのが今となっては恥ずかしい…すみません。
「夜の蝉」だけは記事を書いていないので、再読してみようかと企みつつ、TBさせていただこうと思います。

投稿: ましろ(ざれこさんへ) | 2005.10.18 19:52

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