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2004.10.24

ロスト ハウス

 今回は、大島弓子著「ロスト ハウス」。私が初めて読んだ大島作品である。1995年に単行本化され、文庫化されたものをご紹介。地震が起きたばかりで不謹慎なタイトルですが…

 他人の散らかった部屋が大好きなエリ。大学でしつこくナンパしてきた男性の部屋を訪れる。だが、エリの趣向を理解していない男はレイプしようとする。男性なら部屋に来る女性を下心ナシで見る人は少ないだろうが…。未遂に終わったものの、エリは怒る。翌日、男はエリに謝り許しを願うのたが、エリは許すのに条件を出す。「1ヶ月あなたがあの部屋の鍵をかけないで過ごしたら許してもいい。そして、その間、私があの部屋に入っても私を無視して過ごすならば」と。この奇妙な条件に、エリに好意を持つ男は「やるよ」と言う。

 エリは幼い頃、隣に住む鹿森という鍵を決してかけない男性の部屋で遊んでいた。彼の部屋はとても汚く、積まれた本、コーヒーの飲み残し、灰皿の灰、堆積した埃、型をくずしてつり下げられたジャケット、蜘蛛までいる有り様だった。鹿森は、エリに「うちで遊んでもいいよ。だけど服が汚れるよ」と優しい言葉をくれた。エリは、その部屋で不思議な解放感を感じた。毎日のようにその部屋に入り浸るようになった。

 しかし、幼いエリの居場所がある日なくなってしまう。鹿森の彼女が来るというのだ。彼は部屋の片づけを始める。そのうち、彼女はそこに住むようになり、エリの世界は閉ざされてしまった。

 ある日、鹿森の部屋の鍵がかかっていなかった。入ってみると、鹿森の彼女が居た。「自由に遊んで。私も自由にさせてもらうから」そう言われても、キレイに片づけられた部屋にはもうエリの居場所はなかった。

 その彼女が、ある日あっけなく車にはねられ即死してしまう。慟哭する男性をエリは初めて目にしたのだった。その後、エリは家族と引っ越し、鹿森もまたどこかへ引っ越してしまった。

 大学生になっても、エリは「永遠に失われてしまった解放区」を探し求めていた。それがナンパしてきた男の部屋へと行った理由なのだろう。エリの条件どおりにした結果、その男の部屋が盗難に遭ってしまう。エリは責任を感じて弁償代を払うが、男は必ず返済すると約束。早朝から深夜までバイトをする男。そして、返済が終わったとき、エリと男はやっとまともに話をするようになる。その男は、バイト先で、鍵をかけたことのない同僚がいたと上司から聞いた。頭のきれのよい仕事のできる同僚だったが、恋人に死なれてからホームレス生活になったと…エリは、鹿森のことだと思い、その上司を訪ねることにする。その上司によれば、会ったのは10年も前のことで、そのとき彼は全国を歩くのだと言っていたと。

 夜の街を歩きながら、エリの中で何かが変わった。

 私の持っているのは単行本なので、表題作「ロスト ハウス」の他に「青い 固い 渋い」「8月に生まれる子供」「クレイジーガーデン」が収録されている。文庫しか現在は入手困難らしい。文庫だと7作品も入っているとか…正直物凄く欲しい。大島作品はどの作品も、はっとさせるものがある。どれも夢の中のような、懐かしいような、あったかい話ばかりである。私は作者を不思議の国の天才だと思う。とても魅力的な作品を生み出すから…。そう、大島作品は、癒されたい人向けのマンガかもしれない。やわらかなタッチの絵もなかなか良い。少女マンガの苦手な男性もこの本なら、目がキラキラしてないし、9頭身とかではないので読みやすいかもしれない。初期の大島作品はお目目キラキラなので、ご注意を。でも、良い作品ばかりで私は好みですが…

4592887093ロストハウス
大島 弓子
白泉社 2001-06

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